- 共通テスト物理のテスト内容が知りたい
- 共通テスト物理はどうやって対策したらいい?
こんな悩みを持っている人は多いのではないでしょうか。
2021年にセンター試験が共通テストに代わり、問われる内容も変化しました。
共通テストはより思考力が問われるようになり、対策も難しいです。
この記事では、共通テスト物理の基本情報・傾向・特徴・分野別対策・センター試験との違い・京大生が実際に行っていた対策などについて紹介します。
ぜひ最後までご覧ください。
共通テスト物理の基本情報
物理で扱う単元から、共通テスト物理のテスト形式・内容、志望校別目標点まで徹底解説します。点数をとるために、まずは共通テスト物理について詳しく知りましょう。
「物理」と「物理基礎」の違いって?
物理と物理基礎では、学ぶ内容や量が異なります。
しかし、全く別の単元をやるわけではなく、物理基礎が単元の導入となり、さらに深い内容を物理で学ぶ場合が多いです。物理は物理基礎を包含しています。
そのため、物理の教科書は物理基礎の知識を持っている前提で書かれています。物理基礎をとばしていきなり物理に取り組むことはありません。
具体的な物理と物理基礎の内容は以下の表の通りです。
物理基礎 | 物理 | |
力学 | ・速度と加速度 ・力のつり合い ・運動の法則 ・エネルギー | ・剛体のつり合い ・運動量 ・様々な運動 |
波動 | ・電場と電位 ・コンデンサー ・直流回路 | ・電流と磁場 ・電磁誘導 ・交流 ・電磁場中の荷電粒子 |
熱力学 | ・固体 ・液体と熱 ・熱力学第一法則 | ・状態方程式 ・分子運動論 ・気体の熱変化 ・ポアソンの法則 |
波動 | ・波の性質 ・定常波 | ・ドップラー効果 ・反射と屈折 ・干渉 |
原子 | ・粒子性と波動性 ・原子構造 ・原子核 |
上の表のように、「力学」は物理基礎でも学ぶ内容が多いですが、他の単元は圧倒的に物理で学ぶ内容が多くなっています。
問題形式・制限時間
共通テスト物理は全問選択式です。また、全問必答となっています。
制限時間は理科2科目で120分です。最初の60分で1科目の解答用紙が回収され、10分間で解答用紙の回収を行った後、また60分で2科目目の試験が始まります。
理科は4科目の問題用紙が1つにまとまっているため、最初の科目の時間に2科目目の問題を解き始めることも可能です。
1教科60分とされてはいますが、自分の得意不得意で時間配分を変えてもいいでしょう。
問題構成・配点
共通テスト物理は大問4つで構成されています。
大問3つは「小問集合」「力学」「電磁気」で固定で、残りの1問は「波動」「熱力学」「原子」からの出題です。「波動」だけのように1分野で1大問の年もあれば、「波動」と「原子」の2分野で1大問の年もあります。
配点は各大問25点の100点満点です。
以下の表は2023年の問題構成と配点です。参考にしてください。
大問番号 | 問題内容 | 配点 |
---|---|---|
第1問 | 小問集合 | 25点 |
第2問 | 力学 | 25点 |
第3問 | 波動 | 25点 |
第4問 | 電磁気 | 25点 |
難易度・平均点
共通テスト物理の平均点は以下の通りです。
2021年 | 2022年 | 2023年 | 平均 | |
---|---|---|---|---|
平均点 | 62.36点 | 60.72点 | 63.39点 | 62.15点 |
共通テストに変わってからの3年間での、理科の他科目の平均点は以下の通りです。
・化学:53.07点
・生物:56.63点
・地学:49.75点
物理は理科の中では1番平均点の高い科目であり、平均点も60点を超える年が多いため、難易度はそこまで高くないといえるでしょう。
志望校別目標点
物理の志望校別目標点は以下の通りです。自分の志望校に合った目標点がとれるように勉強していきましょう。
志望校 | 目標点 |
---|---|
東大・京大・一橋大・東工大レベル | 95点 |
旧帝大・早慶レベル | 90点 |
神戸大・筑波大・横浜国立大レベル | 85点 |
MARCHレベル | 80点 |
共通テストとセンター試験の違いって?センター過去問は意味あるの?
2021年から、センター試験が共通テストに変わりました。共通テストの過去問が少ないため、センター過去問をどう活用できるかは共通テスト対策の中でも重要です。
ここでは、センター試験と共通テストの違いと、センター試験の活用法を解説します。
共通テストとセンター試験の違い
共通テストとセンター試験の違いは大きく2点あります。
1つ目は、問題の難易度がやや上昇したことです。
センター試験では単純な知識を問う問題が多かったですが、共通テストでは思考力・表現力を重視した問題が増えました。
平均点をみても、センター試験は6割になるように作成されていた一方、共通テストは5割になるように作成されています。
2つ目は、問題内容の変化です。「問題文」と「問われること」が大きく変化しました。
問題文では、全科目共通して「会話文・図表の読み取り」が増えました。問題を読んで知識で解答するだけでなく、他者の考えを読み取ったりする力が必要です。
問われることは、単純な知識から思考力・表現力へ変化しました。センター試験では問題集にあるような問題がそのまま出題されていたのに対し、共通テストでは身近な現象を絡めた、多くの受験生にとって初見の出題が多くなっています。
見たことのない問題でも、よく考えれば教科書内容の知識で解けるのですが、応用力はより必要になったといえるでしょう。
センター過去問は活用できる!使い分けが大切
結論、センター過去問は共通テスト対策にも役立ちます。
なぜなら、センター試験は共通テストと形式が似ている上に、センター試験の問題の質は非常に高いからです。
センター試験と共通テストは問われ方は異なるといっても、解くのに必要な知識や、根本の考え方は変わりません。また、選択形式である点も同じで、問題演習には適していると言えます。
センター試験は長い時間をかけて丁寧につくられているため、良問が多いです。苦手な分野のセンター過去問の演習を繰り返すことは、いい勉強になるでしょう。
しかし、センター過去問は苦手つぶしや問題演習に向いていますが、共通テスト独自の問題には対応していません。
思考問題や図表の読み取りに対応するために、共通テスト過去問や共通テスト予想問題も解くようにしましょう。
センター過去問と、共通テスト過去問や予想問題をうまく使い分けて対策することが大事です。
共通テスト物理の試験戦略って?京大生オススメの解き方・時間配分を紹介
現役京大生の私は、共通テスト理科は物理・化学の2教科での受験でした。
ここでは、私が実践していた共通テスト物理の時間配分と解き方を解説していきます。
私は物理より化学に時間がかかるタイプだったので、物理は50分を目安に解いていました。
解く順番は、大問1から大問5の順に前から解き進めていました。解けなかった問題は一度とばして、最後まで解き終わってから戻って解いていました。共通テストは時間が短いので、一問に気をとられすぎずに、次々解いていくことがオススメです。
見直しの際は、単位チェックを入念に行っていました。共通テストは選択問題ですが、問われているものと単位の異なる選択肢も多いです。
自分の選んだ選択肢が正しい単位になっているか確認するようにしましょう。
共通テスト物理の時間配分は、苦手な大問を少し長めにして、他は均等に割り振ることがオススメです。
基本的な力がついていたら、そこまで時間に追われることはありません。1つの問題で立ち止まって、時間を使いすぎないようにだけ注意しましょう。
共通テスト物理の傾向・特徴
共通テスト物理は、知識の暗記ではなく、思考力や応用力が問われる問題となっています。
計算量が少ないことが特徴です。
問題の題材としては、日常生活や実験と物理を絡めたものが多く、問題集のよくある問題とはすこし感じが違います。
グラフや表の数値を読み取って考えたり、会話文をもとに解答する問題が頻出です。読み取る文章量が多いため、ミスに気をつける必要があります。
目新しい問題は多いですが、内容は基本的なものが多いです。物理を丸暗記するのではなく、なぜその物理現象が起こるのかを理解していることが求められます。
【分野別】共通テスト物理の対策・勉強法
ここでは、共通テスト物理の具体的な対策・勉強法について解説していきます。共通テスト物理は、選択問題がなく全問必答なので、すべての分野で苦手をつくらないようにしましょう。
力学
力学は物理の基本となる分野です。共通テストでも必ず大問1つを使って出題されます。
力学の勉強で大事なことは以下の2つです。
- 公式を理解して覚える
- 作図ができるようになる
まず、公式の丸暗記は絶対にしてはいけません。これは力学だけでなく、物理全体を通して言えることです。
物理では、どんな状況でどの法則が適用できるかを問われます。公式の意味を理解しないまま覚えてしまうと、複雑な状況になったときにどの公式を使えばいいのか分からなくなってしまいます。
特に、共通テストは日常に関連することを問題の題材にすることが多いです。一見目新しい問題のようにみえるため、公式の丸暗記では太刀打ちできないでしょう。
公式は自分で導き出せるレベルまで理解しましょう。
次に、作図の重要さです。
力学では、物体に加わる力と物体の運動の変化がポイントになります。
ミスをしないためには、物体にかかる力・物体の運動が変化する場面を、図にして可視化することが大事です。図にすることで、状況を把握しやすくなるため、どの公式を使えばいいかがすぐ分かります。
今から癖をつけていきましょう。
電磁気
電磁気は力学よりもイメージしにくいため、苦手に感じている人も多いでしょう。
電磁気は、基本問題の演習を通して理解していくことがオススメです。教科書の定義を理解することはもちろん重要ですが、頭で理解しようとしても難しい部分もあります。そんなときは、手を動かして問題を解くことで徐々に理解していくほうが、効率よく学習できます。
あくまでも内容理解のための問題演習なので、問題の丸暗記にならないよう気を付けてください。
電磁気でも力学同様に、図をかく癖をつけましょう。電流や磁場など、目に見えないものは可視化することでイメージしやすくなります。
また、電磁気でも力学がベースになる単元があるため、力学→電磁気の順で勉強しましょう。
熱力学
熱力学で大事なことは、温度・圧力・体積・物質量の中で、変化したものと一定のものを把握することです。
いくつかの操作を通じて気体の状態が変化する問題では、毎回図と温度・圧力・体積・物質量を書き込みましょう。熱や仕事が加わった場合は、それも書き込んでください。
最後に変化のグラフを書くことができれば、理解はばっちりです。
使う公式は状態方程式が圧倒的に多いので、公式の選択よりも、状況把握が大事になります。
また、気体分子の運動の単元では、公式の導出ができるようにしましょう。共通テストだけでなく、2次試験でも頻出です。
波動
波動は他の分野との関わりが少ない単元です。そのため、他分野と同じ考えを使うことが少なく、波動特有の現象・公式が多いです。
波動分野は、まず波のイメージ・原理をしっかり理解することが大事です。波は移動しておらず振動しているだけであることから、縦波と横波の違いや、波の重ね合わせなど、自分で説明できるようになりましょう。
波動では、基本の公式を導出できるようにしてください。公式の導出が波の考え方の理解につながります。ドップラー効果の導出は頻出です。
そこまで難しい問題は出題されないので、イメージをもって公式を使いこなせるよう練習しましょう。勉強の際には図をかくことがオススメです。
原子
原子分野は、覚えることは少ないですが、内容の理解は難しいです。
公式は導出よりも、適切に使いこなせることを重視しましょう。数式で覚えるのではなく、定義や意味を確認しながら、公式を使うようにしてください。
イメージが全くわかない人には、講義系の参考書を使うことがオススメです。教科書よりもわかりやすく図でイメージを表現しているものも多く、理解の助けになります。
この後でオススメ参考書を紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
また、こちらの記事では物理全般の勉強方法について解説しています。
気になる方はぜひご覧ください。
▶【京大生直伝】受験物理の勉強3STEPを徹底解説!分野別のポイント/おすすめの参考書・問題集も紹介!
【PR】【志望校別】共通テスト物理対策のオススメ参考書・問題集
ここでは、勉強に使える参考書・問題集を紹介します。志望校別に共通テスト物理の目標点・2次試験に必要なレベルが異なるので、参考書も志望校別に載せていきます。ぜひ参考にしてください。
物理が苦手な人は、志望校に関わらず、下のレベルの参考書・問題集からはじめていくようにしましょう。
東大・京大・一橋大・東工大レベル
①参考書|物理のエッセンス
物理がある程度分かっている方にオススメの参考書です。豊富な図解で物理の感覚的な理解を助けてくれます。
さらに、例題・解説・演習問題もついており、問題を解くうえでの考え方を学べます。
基礎固めに最適な1冊です。
②問題集|良問の風・名門の森
基本的な問題が解けるようになったら、こちらの問題集に取り組んでみましょう。
参考書と基礎問題集で身につけた知識を応用するのにぴったりの1冊です。
また、物理のエッセンスと同じ河合塾が出しているため、エッセンスと合わせて使うとより理解しやすいでしょう。
名門の森の方が難しいので、まずは良問の風に取り組むようにしてください。
旧帝大・早慶レベル
①参考書|浜島清利 物理講義の実況中継
「物理のエッセンス」の著者が書いた、講義形式の参考書です。問題の着眼点を教えてくれます。
物理が苦手な人でもスッキリわかるように解説されています。講義だけでなく、「チカラがつく問題」もついており、解説も豊富です。
②問題集|重要問題集
さまざまな大学の過去問を多く取り扱っている問題集です。「A問題」「B問題」で難易度が分かれており、自分に合った使い方ができます。
問題数が非常に多く、網羅的な内容のため、基礎が固まっていて演習を積みたい人にオススメです。
神戸大・筑波大・横浜国立大レベル
①参考書|宇宙一わかりやすい高校物理
イラストを多く用いて、物理の基本が解説されています。
直感的に理解できるようになっているので、物理が苦手な人や、はじめての参考書にもオススメです。
基礎的な内容なので、この参考書のあとに問題集で演習を積むようにしましょう。
②問題集|標準問題精講
この参考書は非常にシンプルです。問題数が多く、解説も丁寧になっています。
採点者目線の解説で、自分で考える力をつけることができます。なぜそのような解答になるのかをしっかり理解したい方にオススメです。
MARCHレベル
①参考書|漆原晃の物理・物理基礎が面白いほどわかる本
この参考書は実際に私も使っていたのですが、本当に物理が面白いほどわかります。
物理をストーリー立てて説明しており、イラストも分かりやすいので、物理が苦手な人にオススメです。
載っている問題は教科書レベルのものなので、この参考書で基礎が理解出来たら、他の問題集で演習を積みましょう。
②問題集|リードα 物理基礎・物理
リードαは基本的な問題が網羅されています。公式をそのまま使うことができる問題も多く、公式の使い方や暗記をするのにぴったりです。
基礎的な問題集ですが、完璧にすれば共通テストで8割はとれます。
他の問題集が難しすぎると感じる人は、リードαで演習を積んでみましょう。
共通テスト京大農学部2位が実践していた共通テスト対策
ここでは私が実際にしていた共通テスト物理対策を紹介します。
私が共通テスト対策を始めたのは12月末頃です。学校の授業では11月中ごろから共通テスト対策が始まって、12月頃から過去問演習などをしていたので、自主学習の時間は2次試験の勉強に多く当てていました。
物理は苦手だったので、2次試験の勉強のときから根本の理解を意識していました。そのため、本質的な理解を求められる共通テストではあまり困ることはありませんでした。
共通テスト対策では、ひたすらセンター試験の過去問を解いて、間違った問題を見直して解き直すという勉強をしていました。
センター試験は文章が短いためすぐ解けるので、自分の苦手や理解不足をしらみつぶしに探すのに使っていました。
直前では、共通テスト独自の形式に対策するため、共通テスト予想問題集を解きました。ここでは、合っていた問題も解説を読んで、問題の意図やポイントを把握するようにしました。
共通テスト物理は計算問題が少ないため、本番は慌てないで解くように心がけました。図をしっかり書き込むことも大切だと思います。
よければ勉強の参考にしてください。
まとめ
この記事では、共通テスト物理の基本情報・傾向・特徴・分野別対策・センター試験との違いなどについて紹介しました。
共通テスト物理では、思考力を問う問題が多く、物理の本質的な理解が求められます。公式の丸暗記ではなく、導出から理解していく姿勢が大事です。
分野ごとに勉強のポイントはありますが、共通して大切なのは「図をかくこと」です。
図をかくことは、イメージからの理解と、ミスを減らすことに役立ちます。
物理選択の受験生の方は、ぜひ共通テスト物理対策の参考にしてください!