- 理系化学で何から始めればいいかわからない
- どんなことを意識して勉強をするべきか知りたい
- 買った方がいい参考書があれば紹介してもらいたい
このような悩みを抱えている学生の方は多いのではないでしょうか。
化学は高校2年生から始める学校も多く、あと回しにされがちな科目です。
この記事では化学にはどんな単元があり、それぞれどのように勉強していけばいいのかを解説していきます。
この記事を参考に、2次試験でライバルと差をつけましょう!
そもそも化学ってどんな科目?
そもそも化学はどんな科目なのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
「化学基礎」と「化学」に分かれる
化学は「化学基礎」と「化学」に分かれます。
「化学基礎」とは、文字通り「化学」を学ぶ上で基礎となる分野です。元素の周期表や簡単な酸化・還元反応などがあげられます。
「化学基礎」は主に文系の共通テストで使われます。
対して、「化学」は「化学基礎」よりも深い内容を学びます。
理系の方は、共通テストから2次試験までが「化学」の範囲から出題されます。
「化学」はさらに4つに分かれる
「化学」はさらに4つの分野に分かれます。
- 理論化学:物質の構造や状態、反応について扱います
- 無機化学:物質の特徴などについて学びます
- 有機化学:有機化合物の特徴や反応を勉強します
- 高分子化学:分子量がおよそ 10,000 を超える無機化合物および有機化合物を対象とする分野です
化学はどの分野から勉強し始めればいいの?
化学の勉強をどの分野から始めたらいいか悩む方も多いと思います。
実は、化学には勉強するおすすめの順番があります。
①理論化学から始めるべき
化学の勉強は必ず理論化学から始めてください。
なぜかというと、理論化学は他3つの分野を勉強する時の基礎となる知識が詰め込まれているからです。
例えば、有機化学、高分子化学で必要になってくるmol計算、無機化学で必要とされる原子の構造の知識などは理論化学の範囲となります。
先に理論化学を勉強することで残りの3つの分野を有利に進められるので、一番最初は理論化学から勉強しましょう。
②無機・有機はどっちが先でもいい
理論化学が終わったら、無機化学か有機化学を勉強しましょう。
この2つの順番はどちらでもかまいません。
なぜなら、この2つの分野に関連がないからです。片方の知識をもう片方に利用することがないので、どちらを先にやろうが勉強する量に変わりありません。
ちなみに私は無機化学→有機化学の順番で勉強しました。
無機化学のほうが暗記の内容が多いので、早く覚えてしまって復習の時間を多くとりました。
個人的には、こちらの順番がおすすめです。
③高分子は最後
理論化学、無機化学、有機化学が終わったら最後に高分子化学を学び始めましょう。
この分野は出題される学校が少なく、出題されたとしても配点が少なくなりがちなのであと回しにして大丈夫です。
受験生の8割がしている化学の間違った勉強法
次は多くの受験生がしている間違った科学の勉強法について解説していきます。
今から述べる3つの勉強法に当てはまっている受験生は今すぐ直してください。
①丸暗記
最初の間違った勉強法は、何でもかんでも丸暗記してしまう方法です。
化学は覚えることがたくさんあります。しかし、すべてを丸暗記してしまうのはとても効率が悪く、実は法則などで導き出せる知識もあるのです。
例えば、H+(水素イオン)、Cu2+(銅イオン)、Zn2+(亜鉛イオン)、Na+(ナトリウムイオン)などの陽イオンを覚えるとき、一価の陽イオンになるのか、二価の陽イオンのなるのには法則性があります。
周期表で一族のH(水素)、Li(リチウム)、Na(ナトリウム)、K(カリウム)などは一価の陽イオンとなり、二族のBe(ベリリウム)、Mg(マグネシウム)、Ca(カルシウム)などは二価の陽イオンとなります。
この法則を知っていると、周期表を覚えていれば、何価の陽イオンなのかを丸暗記しなくてもいいことがわかります。
このように、覚える知識を減らすととても効率よく勉強ができます。
②参考書を読むだけ
2つ目は参考書を読むだけで終わってしまっている勉強法です。
化学はアウトプットがとても大事な科目です。参考書を読むだけでは実際に覚えているか分かりません。必ず問題を解いて、ちゃんと解けるか確認までするようにしましょう。
実際に、私はインプットが十分に出来ていなくてもどんどん新しい問題を解いていました。もちろん、分からない問題も頻繫に出てきましたが、その問題を復習して新しい知識としていきました。
絶対に参考書を読むだけより効率が良かったと思います。
ですので、参考書を読むだけの勉強法はやめましょう。
③復習を十分にしていない
最後は復習を十分にしていない勉強法です。
化学はアウトプットが大事といいましたが、アウトプットするだけではいけません。
有名なエビングハウスの忘却曲線によると、人は情報を覚えた瞬間から忘れ始め、20分で覚えたことの約4割を忘れてしまいます。
なので、復習を十分にしていないとせっかくアウトプットしても効果が半減してしまいます。
おすすめの復習はその日のうちに間違えたり、不安な問題を一度やり直し、数日後にもう一度やり直すという方法です。
何回か復習することでより知識を確固たるものにできます。
化学の勉強で守るべき5つのポイント
先ほどは間違った勉強法を3つ紹介しましたが、ここからは実際に京大生である私が気を付けていた5つのポイントを紹介していきます。
- アウトプットを重視する
- 図を用いる
- 過程を人に説明できるようにする
- 計算過程をきれいに書く
- 単位を常に気にする
①アウトプットを重視する
化学の勉強で最も大切なのはアウトプットです。
アウトプットをすることにより、自分が覚えきれている箇所、覚えきれていない箇所がはっきり分かります。
また、復習をすることによって結果的にインプットもできます。
なので、ある程度インプットができたら、自信がなくてもアウトプットを挟んで勉強していきましょう。
私はインプットにかける時間を2として、アウトプットに8くらいの時間をかけるイメージで勉強していました。
②図を用いる
次のポイントは、問題を解く際に図を用いることです。
図を用いることで、問題で何が起きているのか、どのような構造をしているのかが分かりやすくなります。
特に、理論化学の複雑な計算を要する問題や、無機化学の物質の構造を考える問題は図を用いましょう。
実際に、私もすべての問題の図をテスト用紙の裏にかいて解いていました。
問題にプリントされている図に書き込むことは、問題がかえって分かりにくくなるのでおすすめしません。
③過程を人に説明できるようにする
3つめは、問題を解く過程を人に説明できるようにすることです。
人に説明できるほど理解していると、次に似たような問題が出たときも同じ手順を踏んで解答を作れます。
なので、少し複雑な問題が出たときは解答過程をほかの人に説明できるか自分で確かめてみましょう。
実際に説明せずとも、自分の解答の道筋を口に出すだけでも効果はあるのでぜひ実践してみてください。
④計算過程をきれいに書く
4つめは計算過程をきれいに書くことです。
これは、受験生が一番出来ていないポイントだと思います。
計算式を使って解答を作っていくときに、どの式がどの反応に当てはまるのか分からなくなったことはありませんか?
難しい問題になるほど計算が多くなり、計算過程が整理されていないと、正解となる式や値を探すのに時間がかかってしまいがちです。
こうならないように、計算結果や計算式は、パッと見てなんの反応に当てはまるのか分かるようにきれいに書きましょう。
⑤単位を常に気にする
最後のポイントは、単位を常に気にすることです。
化学は解答するときに、単位をともに要求する場合が多々あります。
数値はあっているのに単位が違うからバツというのは悲しいですよね。
単位に関する間違いは化学初心者から上級者まで全員がしてしまう可能性があります。
よくあるミスとして、molで答えるところをgで答えてしまう、Lで答えるところを㎖で答えてしまうなどがあります。
このようなミスを防ぐため、計算途中から単位を気にして解いていきましょう。
【分野別】京大生の化学勉強法
次に実際に私がしていた勉強法を分野別に見ていきましょう。
理論化学の勉強法
まずは理論化学について解説します。
最初に暗記部分をインプットしていきましょう。
「旺文社Doシリーズ『鎌田の理論化学の講義』」やスタディサプリを参考にしていくのがいいと思います。
これまでに何回も述べていますが、暗記すべきところと本質から導けるところにわけて覚えていくのがおすすめです。
坂田先生の授業をみれば、暗記が必要なところと、暗記ではなく本質からすぐ導き出せるところを説明してくれているので暗記の量を減らせます。
インプットが終わったら、アウトプットをしていきましょう。
その際、ただ問題を解くだけではなく先ほど説した5つのポイントを意識してください。
アウトプットにおすすめの問題集は『基礎問題精講』です。
また、『重要問題集』も時間の許す限り進めていきたい問題集になります。
無機化学の勉強法
次は無機化学です。
インプットについてですが、無機化学は分子量や構造の名前など暗記しなければならないところが多いです。
大変だと思いますが、無機化学には暗記用の語呂合わせがたくさん存在しています。
暗記する必要がある知識に関しては、語呂合わせをどんどん使っていきましょう。
もちろん、無機化学でもアウトプットするのは大事なのでたくさん問題を解いていきましょう。
問題演習でおすすめの問題集は『基礎問題精講』ですが、『重要問題集』もおすすめです。特にA問題をやりつくすと大体の無機化学の知識を網羅できます。
有機化学の勉強法
有機化学についても見ていきましょう。
有機化学も理論化学と同じように、インプットの際に暗記すべき部分とそうではない部分に分けて覚えていきましょう。
どのように覚えて行けばいいかわからない人はスタディサプリに登録することをおすすめします。
登録に気が進まない人は「旺文社Doシリーズ『鎌田の有機化学の講義』」を参考にしましょう。
有機化学には複雑な構造式が出てきます。
この構造式は何回も実際にかいて覚えていきましょう。
1日10回書いていれば一週間もすれば絶対に覚えられます。
次にアウトプットについてです。
有機化学は勉強するのが遅くなりがちな分野です。
しかし、受験では頻出で配点も高い場合が多いです。
なので、この分野でどれだけアウトプットできたかが合否を左右します。
積極的に問題演習、復習をしていきましょう。
おすすめの問題集は、やはり『基礎問題精講』または、『重要問題集』に取り組むことをおすすめします。
高分子化学の勉強法
最後は高分子化学です。
インプットは、もちろん暗記すべき部分とそうではない部分に分けて覚えていきましょう。この分野にも有機化学と同じように複雑な構造式がでてきます。
先ほど同様、覚えるまで実際に書いてください。
アウトプットもほかの分野と同じように行ってください。
この分野は受験で出題されにくいので、基本問題を抑えて、時間があれば応用問題にも手を出すようにしましょう。
おすすめの問題集は、『基礎問題精講』です。
【PR】京大生がおすすめする化学の参考書・問題集
最後に京大生の私がおすすめする参考書と問題集を紹介していきます。
旺文社Doシリーズ『鎌田の理論化学の講義』『福間の無機化学の講義』 『鎌田の有機化学の講義』
最初に紹介する参考書は旺文社Doシリーズ『鎌田の理論化学の講義』『福間の無機化学の講義』 『鎌田の有機化学の講義』です。
この参考書は最小限の努力で合格点がとれるように、出るところに的を絞っています。
インプットの際はこの参考書をもとにすれば大体の範囲は覚えられます。
スタディサプリに登録するのに気が進まない人はこの参考書がおすすめです。
化学の新研究
次に紹介する参考書は『化学の新研究』です。
この参考書は教科書に書いていないようなことが869ページにわたって網羅されています。教科書に載っていない反応や物質の特徴を理解するときにとても役立ちます。
しかし、この参考書は超ハイレベルなものになるので、参考書というより辞書のように用いることを強くおすすめします。
私は、この参考書を購入しましたが、京都大学の2次試験の過去問演習をしたときに数回用いた程度でした。
基礎問題精講
次は問題集を紹介していきます。
最初に紹介するのは、『基礎問題精講』です。
この基礎問題精講は人気実力講師のていねいな解説で、「精講」→「解説」のわかりやすい2段階解説になっています。
なので、重要ポイントをおさえながら、効率よく学習できます。
この問題集だとインプットアウトプットのサイクルがしやすいという特徴もあります。
この参考書を用いて、スタディサプリでやった単元の基本問題演習を私もしていました。
問題を間違えても、解説を読めば必ず理解できたので自信をもっておすすめします。
重要問題集
最後に紹介するのは、『重要問題集』です。
この問題集は、全国の入試問題から良問を精選し、最新の入試傾向も反映しています。
各章は「要項」→「A問題」→「B問題」で構成しており、基礎問題から応用問題まで網羅されています。
「A問題」は基礎問題なのですべての分野、すべての問題を解くことをおすすめします。
「B問題」は応用問題ですので、自分が得意にしたい問題を積極的に解いていくのがおすすめです。
私は時間があったので、「A問題」を終わらせたあと、理論化学→無機化学→有機化学→高分子化学の順番で「B問題」を解いていきました。
まとめ
今回は化学の勉強法や気を付けるポイント、おすすめの参考書、問題集などを解説しました。
化学の勉強の順番
- 理論化学からはじめる
- 無機化学、有機化学の順番はどちらでもいい
- 高分子化学は最後
勉強する際に気を付けるポイント
- アウトプットを重視する
- 図を用いる
- 過程を人に説明できるようにする
- 計算過程をきれいに書く
- 単位を常に気にする
ぜひ化学を勉強する際は、今回のポイントを意識して勉強してください。
実際に私が化学を勉強してきた中で、特に大事だと思った点をとりあげましたので必ず皆さんの役に立つと思います。
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