正しい日本史の勉強法がわからずに無闇に勉強しているという方もいるでしょう。このような状態では安定して得点するのは難しいです。
私は、共通テストの日本史で97点を取り、大きな得点源にすることができました。そんな私でも失敗を繰り返し、安定して得点することができませんでした。
しかし、共通テストの日本史の傾向をしっかりと把握することで安定して高得点を取れるように!
この記事を読めば共通テストの日本史を得点源にすることができ、志望校合格へと近づきます。
共通テスト日本史の特徴
まずは共通テスト日本史の試験時間や問題構成などを把握しましょう。
問題の構成と配点、試験時間
試験時間 | 60分 |
問題構成 | 大問6問(小問32問) |
配点 | 大問1 18点/大問2 16点/大問3 16点/大問4 16点/大問5 12点/大問6 22点 |
共通テスト日本史の試験時間は60分間です。
大問6問で構成されており、小問32問となっています。
合計100点のうち、近年の傾向では大問5、6を占める近現代史の配点が大きいことがわかります。
共通テスト日本史特有の傾向
共通テストには私大の試験や国公立2次試験とは違った特徴があり、まずはその特徴を知ることが必要です。その特徴を3つ挙げていきます。
①文章量が多い
共通テストの日本史は文章量がとにかく多いことが一つの特徴です。
長い文章を読むのに嫌気がさして読み飛ばしてしまう人もいるでしょう。
ですが、読み飛ばしてしまうと問題を解くための情報を見落としてしまい、もったいない失点につながってしまいます。問題文は必ず熟読することが大切です。
②史料が多い
共通テストでは教科書に載っていない史料を扱った問題が多く出題されます。
初めて見る史料に困惑することもあるかもしれませんが、安心してください。
基本的な知識と注釈を上手く使えば確実に得点できる分野だからです!
③生徒の発表・会話形式
共通テストでは高校生がある歴史テーマに対して考察している会話や、そのテーマについて発表する過程が問題にされます。
2024年は大問6個の中で5個がこの形式で出題されました。
他の地歴公民科目との違い
同じ地歴公民科目といっても必要な暗記量や得点の安定性は異なります。
必要な暗記量、得点の安定性の両面で「世界史>日本史>地理・倫政」だと考えられています。
このように日本史は知識定着に時間がかかる科目ですが、得点を安定させられる科目でもあります。
【共通テスト日本史】大問別の特徴
各大問には特定のテーマが与えられ、基本的に時代で区切られています。
大問1:テーマ史
【特徴】時代を超えたテーマ史
2022年には古代から現代までの姓と名字についてのテーマ史が出題されました。
一つの時代だけでなく幅広い歴史の視点を重要視している傾向があります。
大問2.:先史・古代
【特徴】縄文から平安まで幅広い範囲
最新2024年には古代の甕や甑の写真史料を用いた問題が出題されました。また『小右記』といった有名史料からの出題もありました。
大問3.:中世
【特徴】鎌倉室町時代は政治戦争が多い
鎌倉室町時代は政治戦争が頻発します。ただ、政治だけでなく中世は経済も重要分野です。2023年には京都の商業についての問題が出題されました。中世の流通経済は理解が難しい分野ですが、頻出するので特に注意しましょう。
大問4.:近世
【特徴】江戸時代を中心
江戸時代はポルトガル、オランダ、清国などとの関わりも濃くなっていき、海外との貿易輸出入など複雑な問題が出題されます。実際2024年には朱印船貿易の輸出量についての問いがありました。また鎖国までの流れは頻出問題です。
大問5・6:近現代
【特徴】海外との関わりが濃くなる
近年重要視されている
明治期からアメリカやイギリスとの関わりが濃くなっていき、二つの世界大戦を中心に国内の問題が生まれていきます。各総理大臣の政治経済政策も必ず押さえましょう。
日本史探究に移行していくため、近年重要視されている時代であり、配点も他の時代よりも大きくなっています。
2025年から入試が大きく変わる!?
現在の共通テストでは日本史Bという科目ですが、2025年から「歴史総合+日本史探究」へと変わります。この変化に伴い世界史と日本史の関係の理解が重要になっていきます。
高校の指導要領では歴史総合という科目の狙いを以下のようにあげています。
「近現代の歴史の変化に関わる諸事象について、世界とその中の日本を広く相互的な視野から 捉え,現代的な諸課題の形成に関わる近現代の歴史を理解するとともに、諸資料から歴史に関する様々な情報を適切かつ効果的に調べまとめる技能を身に付けるようにする。」
【引用元】高校指導要領
共通テストでは近現代の日本と世界の相互的な視点が求められている点からやはり近現代の外交史分野が重要になると予想されます。
対策としては今までよりも近現代を重視して勉強するといいです。特に世界情勢について今までの日本史を超えて勉強する必要が多少出てきます。
京大生が教える共通テスト日本史の勉強法3STEP
日本史の勉強は、ずばり「基礎知識を得る、流れを理解する、演習する」の3STEPです。
①はじめに基礎のインプットをする
まずは教科書レベルの日本史用語をインプットしましょう。
インプットにおいて意識すべきなのは「周辺知識と共に覚える」ことです。
単なる用語の暗記だけでなく周辺知識をインプットしていくことで、連想して他の用語を覚えることができ、知識の定着もはやいですし、何より暗記の効率がいいです。
例えば、加藤高明内閣に関して単に政策を暗記するのではなく、「加藤内閣と言ったら普通選挙だな。だから治安維持法も制定して国内の混乱を防ごうとしたんだ。ソ連と国交を樹立したのも関係あったよな。」と連想して覚えていく。といった具合です。
②日本史の時代と流れを掴む
時系列で日本史の時代と流れを掴むことが大切です。
共通テストの日本史では年代整序の問題が多く出題されます。
傾向として15点ほどの配点があり、難易度が高い分、周りと差がつきやすい分野です。
日本史の流れを掴むのに重要なのは「因果関係を意識する」ことです。何が理由でその出来事が起こったのかを意識して学習しましょう。
③過去問・問題集で演習を積む
上手な演習の仕方を知り、積み重ねていくことで勉強効率が格段に上がります。演習に必須なことを3つ挙げていきます。
- 時間配分を意識する
- 解説をしっかり読み込む
- 知らなかった知識はメモる
の3項目です。
・時間配分を意識する
時間を意識しない演習は効果がありません。自分に合った時間配分を決めてルーティン化することで模試や本番での緊張を抑えることができます。
おすすめの時間配分に関しては「時間配分を決めておく」で後述します。
・解説をしっかり読み込む
問題を解いて、答え合わせをしておわっていませんか?問題をやりっぱなしにするのは非常に勿体無いです。問題集の解説はとてもわかりやすく説明しているものが多いので、解説を読み込むだけでいい勉強になります。
・知らなかった知識はメモる
演習中に知らない知識が原因で失点したらラッキーだと思いましょう。次に同じ問題が出た時は落とさないぞと強く意識し、一つのノートにメモをとって、まとめておくことをお勧めします。そうすれば自分の苦手な問題が浮き彫りになり、模試や本番直前の復習にとても有効なものになります。
共通テスト日本史分野別解説
ここからは日本史を「政治・経済・外交・文化」に区切ってそれぞれ解説していきます。
①政治
政治史の出来事はたくさんの事象が絡まって起きているのでひとつの用語だけではなく、その周辺知識と流れを抑えることが大切です。
歴史はその時代の政治(為政者)によって、その時代の特徴や経済、外交、文化に変化が生まれるため、一番重要な分野といえます。
例えば、奈良時代の聖武天皇の時期には仏教色の強い政治が行われました。そのため天平文化も仏教色が色濃く、大仏建立などで人々の生活にも影響を与えていきました。
このように政治はその時代に大きな影響を与えます。
②経済
一言で経済史といっても、貨幣、貿易、土地制度など幅広い分野があり、時代によって特徴が変わっていくのがポイントです。暗記一辺倒にならずに経済の仕組みから理解することがマスターへの近道だといえます。
松方財政を例に挙げても、単に日本銀行設立や、銀本位制の導入という事項を暗記するだけでは不十分です。まずはこの経済政策をおこなった原因(西南戦争によるインフレ)や目的(貨幣価値の向上によるデフレーション)を把握してから、財政内容を暗記すると理解度が断然変わります。
③外交
共通テストでは、日本史探究への移行に伴い外交の分野が重要視されています。
日本以外の国との関わりがある分野のため横のつながりを意識することが大切です。特に近現代ではつねに海外情勢との繋がりがあり、複雑になっているため、理解に時間がかかる分野です。
第一次世界大戦はヨーロッパが主戦場ですが、日本も日英同盟を理由に参戦し、中国にあるドイツ領を占領します。
このように国内だけでなく、アジア・ヨーロッパまで範囲が広がっていくため時間をかけて学習していくことが肝要です。
④文化
暗記事項が多く直前の詰め込みになりがちな分野ですが、コツコツと知識を溜めていくべきです。また文化も各時代に特徴があるため、その特徴を押さえ概観を掴むことで暗記がしやすくなります。
模試などでマニアックな知識が出題されるかもしれませんが、本番では失点しないように知識を増やしていきましょう。
共通テスト日本史で高得点を取るためのポイント
共通テストの日本史で高得点を取るには、「問題の型を知り、時間を意識する」ことが大切です。
①問題の型を知る
共通テストの日本史で頻出の問題の型を知り、日々の学習で意識することで得点力が上がっていきます。
特に頻出するのは年代整序問題と正誤問題です。
年代整序は難しい問題ですが、用語を流れと因果を共にインプットすれば得点源にできます。
正誤問題は、史料を読んでわかることのみで解ける問題もあれば、史料と基礎知識を組み合わせて答えを出す問題もあります。この問題の型は共通テスト特有のものなので共通テスト演習用の問題集で慣れていくのが一番効果的です。
②時間配分を決めておく
自分の時間配分を決めておくことは得点の安定性や高得点へとつながります。
日頃の演習で時間配分を意識するしルーティン化することで落ち着きが得られ、高いパフォーマンスが発揮されます。
私は、わからない問題を飛ばしながら一通り問題を解くのに30分、見直しと飛ばした問題の熟考に30分という目安で演習していました。
「この大問には何分使って…」「解き切るまでに40分使うぞ」など自分に合った時間配分を見つけていきましょう。
共通テスト日本史対策におすすめの参考書問題集
私が実際に使っていたおすすめの参考書や問題集をあげていきます。
インプットにおすすめの参考書
山川の教科書
学校で配られる山川の教科書は日本史学習に最適です。教科書の本文には日本史の出来事の原因や影響が詳しく書かれており、何度も読み込んで理解を深めていきましょう。
欄外には細かい知識が書かれていますが、共通テストレベルから外れるため軽く見る程度で大丈夫です。
流れを掴むのにおすすめの参考書
時代と流れで覚える!日本史B用語
この参考書は時代や場所をわかりやすく図解し、流れを掴むための問題も掲載されています。そのため視覚的に歴史を捉えることができ、年代整序問題等に最適です。
直前にやるべき問題集
各社共通テスト問題集
直前には河合塾や駿台予備校が出版している共通テストの問題集を解きましょう。
共通テストの問題の型に慣れ、時間制限の中で高得点を目指しましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は共通テスト日本史で8割取るための勉強法を解説しました。
覚えることの多い日本史、さらに2024年から日本史探究へとかわることへ大きな不安を抱えている人もいると思います。
- 単なる暗記ではなく周辺知識や因果関係とともに覚えて知識を定着させる
- 間違った問題の解説をしっかり読み、次は間違えないと意識する
- 共通テスト日本史でよく出る問題の型を意識しながら勉強する
勉強法やポイントを利用して共通テストに挑めば高得点を得られること間違いなしです!