【京大生直伝】世界史マニアが論述の対策法とオススメ参考書を徹底解説!

世界史論述は東大や京大をはじめとした旧帝大などの難関校の世界史で出題されることが多いです。とくに難関校ほど論述の配点は多くなります。

  • どんな勉強をしたら良いのか分からない…
  • どんな参考書を使ったらよいのか分からない…
  • いつから始めたら良いのか分からない…

 しかし、このような悩みを持つ人が多いのではないでしょうか。論述は単に用語暗記をするだけでは解けない問題なので、苦手な人が多い出題分野です。

 私も昔は論述に対して苦手意識を持っていましたが、正しい勉強法と対策を行うことで秋の冠模試では8割以上を得点し、現役で京都大学に合格することができました。

数学や英語と比べて、世界史論述の勉強法はあまり知られておらず、遠回りしている人も多いです。

しかし、実は世界史論述にも正攻法がありそれを実践するだけで確実に点数が伸びる分野でもあるのです。

この記事では、私が苦手を克服できた世界史論述の正しい勉強法と対策について徹底解説していきます!

世界史の論述ってどんなもの?出題大学は?

世界史論述で求められていること

基本的に論述で問われているのは、「教科書に書かれている内容を、自分の頭の中で整理し直して、自分の言葉で説明できるかどうか」です。

そのため、「俯瞰的視点から整理された知識」と「採点者に伝える記述力」という2つの力が論述に必要になります。

この2つの力を軸として勉強を進めていく必要があります。

世界史論述の種類

世界史論述には様々な種類があります。分量と形式という2つの軸で分類できます。

分量で分類すると、大論述(300字以上)・中論述(100~300字)・小論述(100字以内)の3つの種類があります。

形式で分類すると、ある地域の通史を問う形式と、同時期に起きたことを地域をまたいで問う形式そして用語の意味を問う形式の3つの種類があります。

<例>
【通史を問う形式】
5世紀から12世紀までのモンゴリアの歴史について記述せよ(京大 2023改)

【同時期に起こったことを問う形式】
1770年から1920年までの150年間で、ヨーロッパ、南北アメリカ、東アジアでどのうに政治のしくみが変わったのかについて記述せよ(東大 2023改)

【用語の意味を問う形式】
「湖広熟すれば天下足る」ということわざの背景にある経済の発展と変化について記述せよ(東大 2023改)

用語の説明を問う形式は小論述に多く、ある地域の通史を問う形式と同時期に起きたことを地域をまたいで問う形式は大・中論述に多いです。

また、近年はグラフや表を読み解いて答える形式の問題が多いですが、基本的には形式は上の3つに分類できます。

世界史で論述を出題する大学と出題形式

大学ごとの論述の分量・形式は、変わらずに例年通りの傾向を引き継ぐことがほとんどです。

そのため、過去問分析を通して志望大学の出題傾向を掴むことが論述対策では非常に重要です。

必ず志望校の過去問を確認するようにしましょう。

主要大学の大まかな出題傾向について見ていきましょう。

大学特徴
東京大学東京大学では約600字程度の大論述1題と中小論述が複数出題されます。
細かい知識は問われず、必要な知識は教科書内容だけです。
ただし、歴史を俯瞰的に捉えて制限字数内で論理的に記述する能力が求められているため、
難易度は非常に高いです。
洗練された問題が多いため、東大受験者以外も過去問を解くと良いでしょう。
京都大学京都大学では約300字の大論述が2題出題されます。
細かい知識は問われず、ストレートな問題が多いですが、
教科書の知識を指定字数内にコンパクトにまとめる能力が求められています。
東洋史と西洋史から1題ずつ出題され、東洋史では中国史が頻出単元です。
一橋大学一橋大学では世界史の全問題が論述形式での出題です。
400字程度の問題が3題出題され、第1問は中世ヨーロッパ、第2問は近現代ヨーロッパ、
第3問は近現代東アジアの範囲から例年出題されています。
「20世紀のアメリカの経済政策の内容と以降の経済政策に与えた影響、
そして、それが批判されるようになった理由について出題せよ」など、
教科書の知識だけでは解けないような問題が多いです。
経済や文化などユニークな視点から考えさせる問題が多いので、
過去問分析と世界史に対する深い理解が必要になります。
大阪大学大阪大学では中小論述が複数題出題されます。
会話や資料など、新しい形式での出題が多いです。
名古屋大学名古屋大学では400字程度の大論述が1題と複数の中小論述が出題されます。
ストレートな問題が多く、教科書内容の理解が求められています。
九州大学九州大学では2015年から、文学部の入試科目に世界史が加わりました。
500~600字の大論述が1題と100字前後の中小論述が複数題出題され、
東大と類似した形式になっています。
東京外国語大学東京外語大学では400字~500字の大論述が1題出題されます。
ただし、過去には100字以内の小論述も1題出題されていたことがあります。
世界史の配点は英語の配点の1/3なため、世界史の対策に時間を割きすぎないように注意しましょう。
東京都立大学東京都立大学では中小論述が約10題出題されます。
様々な範囲から出題されます。
筑波大学筑波大学では400字程度の大論述が4題出題されます。
通史が一通り終わってない段階でも解ける問題が多いため、
論述の練習を始めるときの演習問題に適しています
筑波大学受験者以外も過去問を解いてみると良いでしょう。

世界史の論述で間違えがちな4つのポイント!

世界史論述を出題する大学は多くないため、参考書が少なく、学校できちんと指導されることも少ないです。そのため、我流の勉強法をして失敗する人が非常に多いです。

そこで、間違えがちな勉強法を見ていき、失敗しないよう参考にしましょう。

【こんな勉強法は危険!】

  • 通史を覚えずに論述の練習をする
  • 何も参考にせずに、いきなり自分流のの論述を書く
  • いきなり論述を書き始める
  • 自分の書いた論述を誰にも見てもらわない

通史を最優先に!

志望校の過去問を見て難しそうだと思い、焦って通史を終えないまま論述の練習を始める人は多いです。

しかし、結論から言うと、通史を終えずに論述の練習をするのは間違いです。

論述では、自分の頭の中で時代と地域ごとに整理した知識を設問の要求に応じて取捨選択し、論理的に記述することが求められます。

そのため、まずは教科書や用語集レベルの知識を覚えて、共通テストで8割~9割以上得点できるようになった段階から、実際に論述の対策を始めるようにしましょう。

それまでは、「同時期に別の地域では何が起きたのか」、「どのような経緯でこの出来事に至ったのか」という点を意識して、用語や年代の暗記をするようにしましょう。

ただし、過去問だけは早めに確認しておくようにしましょう。過去問を見ると、傾向を確認できてインプットの効率が上昇するだけでなく、モチベーションアップにもつながります。

世界史論述対策は模範解答暗記が基本!

初めから何も参考にせず、そのまま自分の頭の中の知識だけで論述の問題を解こうとする人は多いです。

しかし、これも間違いです。

初めから論述をスラスラと書ける人はいません。そのため、まずは模範解答を覚えて、「俯瞰的視点から整理された知識」と「論述の構成」を身に付けましょう。

模範解答暗記によって、自分の頭の中で知識が整理され、採点者に伝わる記述ができるようになります。

ただし、模範解答暗記だけでは初見の問題に太刀打ちできません。最終的には自分の言葉で説明できなければなりません。

そのためまずは模範解答を100~200題程度暗記し、それを「型」にしてから、実際に自分の言葉で論述していくのが良いでしょう。

まずは構成メモの作成から

いきなり答案用紙に自分の答案を書き始める人が多いですが、これも間違いです。

まずは書くべき内容と構成をメモにまとめてから答案を書くようにしましょう。

いきなり答案用紙に書き始めてしまうと、書き洩らしや字数オーバーが発生して、設問に対して適切に解答できないことが多いです。

まずは何を何字程度でどの順番で書くのかという答案構成をメモにまとめてから、実際に回答するようにしましょう。

誰かに自分の書いた論述を添削してもらう

自分で書いた論述を自分で丸付けして、それで終えてしまう人も多いですが、これも間違いです。

自分ではきちんと書けているつもりでも、別の人から見たら意味が通らない文章になっているというケースは非常に多いです。また、自分で添削する場合、「割譲する」と「割譲された」の違いなど、用語の使い方の絶妙なミスにも気付きにくいです。そのため、学校や予備校の先生など、必ず自分より知識のある人に添削してもらうようにしましょう。

世界史論述の対策法とオススメ参考書を3段階に分けて解説!

世界史論述は闇雲に進めても意味がありません。

自分の習熟度に応じて、段階的に必要な勉強を行っていくことが重要です。

論述対策の進め方をステップ別に分けて解説していきます。オススメ参考書も併せて紹介しているので、是非参考にしてみてください。

ステップ1:世界史の全体像を把握する

これは共通テストで8割以下しか得点できていない段階です。

ここでは、「俯瞰的視点から整理された知識」を身に付けることに主眼を置いています。

この段階では、まだ論述の演習をする必要はありません。教科書内容の暗記をすることを重視してください。

用語の暗記では、数をこなすことと、一問一答などを使ったアウトプットを中心に進めてください。

ステップ1世界史の全体像把握にオススメの参考書

教科書:『詳説世界史 改訂版』(山川出版社)

教科書を何度も読んで歴史の流れを押さえましょう。

教科書の書き方・言葉の使い方は記述する上で非常に参考になるので、使えそうな一文を丸ごと覚えたりしても良いでしょう。

参考書:『ヨコから見る世界史』『タテから見る世界史』(大学受験プライムゼミブックス)

教科書や用語集で身に付けた知識を時代・地域別に、自分の頭の中で整理するために役に立ちます。

用語集:『世界史用語集 改訂版』(山川出版社)

教科書と同様に何度も読んで覚えましょう。

用語の説明文も記述する上で参考になるので、「ウェストファリア体制」「ヴェルサイユ体制」など一つの時代を語るうえで重要な用語は、説明文をそのまま覚えてしまいましょう。

一問一答:『山川 一問一答世界史 第3版』(山川出版社)

用語をインプットするためのアウトプット教材として使用してください。

詳説世界史B 改訂版 [世B310] 文部科学省検定済教科書 【81山川/世B310】 |本 | 通販 | Amazon

ヨコから見る世界史 パワーアップ版 (大学受験プライムゼミブックス) | 斎藤整 |本 | 通販 | Amazon

タテから見る世界史 パワーアップ版 (大学受験プライムゼミブックス) | 整, 斎藤 |本 | 通販 | Amazon

Amazon.co.jp: 世界史用語集 改訂版 : 全国歴史教育研究協議会: 本

Amazon.co.jp: 山川一問一答世界史 第3版 : 今泉 博: 本

ステップ2:世界史論述の模範解答暗記

これは共通テストで8割以上得点できるようになった段階です。

ここでは、「採点者に伝える記述力」を身に付けることに主眼を置いています。

この段階では、ステップ1で紹介した勉強と並行して論述の練習をしてください。

ここでは論述問題に慣れることを重視してください。「論述問題はこんな感じで解く」という感覚を掴むことが重要です。

この段階で模範解答暗記をしていきましょう

ステップ2模範解答暗記にオススメの参考書

・『みるみる論述力がつく世界史』(山川出版社)
・『判る!解ける!書ける!世界史論述』(河合塾シリーズ)

この2冊は丁寧に論述問題の解き方を解説してくれており、解説が充実しているため、論述の初学者にオススメです。

模範解答と解説の暗記をするようにしましょう。

みるみる論述力がつく世界史 | 黒河 潤二, 山岡 晃, 湯川 晴雄 |本 | 通販 | Amazon

Amazon.co.jp: 判る!解ける!書ける!世界史論述 (河合塾シリーズ) : 伊倉 正武: 本

ステップ3:世界史論述の演習と添削

これは基本的な論述問題の模範解答暗記が終わっており、自力で論述問題が解けるようになった段階です。

ここでは、「俯瞰的視点から整理された知識」と「採点者に伝わる記述力」をブラッシュアップさせていくことに主眼を置いています。

過去問などを使用して本格的に演習を積み重ねていきましょう。

先ほどにも書いてあったように、自分で解いて採点をするのではなく、必ず学校や塾の先生に添削してもらうようにしましょう。

ステップ3世界史論述演習にオススメの参考書

・『段階式 世界史論述のトレーニング』(Z会出版編集部)
・各大学の赤本・青本、冠模試の過去問

一度解いた問題は、次に同じように出題されたら確実に解けるようにしましょう。

様々な種類の問題を解いて、初見の問題が出た時の対応力を上げておきましょう。

志望校以外の過去問を解いてみても良いでしょう。また、各予備校が出版している冠模試の過去問なども参考になります。

段階式 世界史論述のトレーニング | Z会出版編集部 |本 | 通販 | Amazon

世界史論述の対策を始める時期

何度も書いているように、まずは教科書に書かれている歴史の流れを掴むことが重要です。

高1や高2の段階で論述対策をする必要はありません。

高3の夏休み終わりまでに始めるようにしましょう。

一橋大学や東京大学など、ハイレベルな問題が出題される場合は、高3の春ごろから論述対策を開始した方が良いでしょう。

ただし、共通テストで8割以上得点できていない場合は、先ほど書いた機嫌を過ぎている場合でも基礎固めの集中するようにしてください。
基礎が固められていない段階で、論述の対策をしても力にならないため、必ず基礎を固めてから論述対策を行うようにしましょう。

まとめ

世界史論述では「俯瞰的な視点から整理された知識」と「採点者に伝える記述力」が求められます。

その2つの力を身に付けるためには、上記の3つのステップで段階的に論述対策を進めることが重要です。

また、下記の4つのポイントに注意して学習しましょう。

  1. 教科書の内容を優先
  2. 模範解答暗記が基本
  3. 答案作成前に必ず構成メモを作る
  4. 先生に添削をしてもらう

この記事を参考にして世界史論述対策を行っていきましょう。

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この記事を書いた人

スタペディア編集部の男性

たお

京都大学法学部に在学中。
得意科目は英語、世界史、地理。
共通テストでは英語と世界史で満点を得点した実績があります。
また、高校在学中に英検1級を取得しました。

前期試験で東京大学文科一類を受験するも、二次試験の数学で大失敗をしてしまい数点差で不合格に。しかし、後期試験に向けて気持ちを切り替えて努力し、最終的には京都大学法学部に現役合格できました。

スタペディアでは英語と世界史をメインに記事執筆をしています。