こんにちは。スタぺディア編集部の鴨川のヨッシーです。
この記事を読むと以下のようなことがわかります。
- 京大文学部の首席が実践していた世界史の用語を効率よく覚える方法
- 用語をすぐに忘れないように記憶に定着させられるような暗記方法
- カタカナばかりで難しい用語をスッとストレスなく勉強する工夫
5000語暗記しなければならないといわれている世界史。私も、受験生時代には暗記に苦しめられていました。
実は、世界史の暗記には正攻法があります。この方法を実践すれば、付け焼刃の暗記に終わるのではなく、受験当日まで忘れない長期記憶を楽に作ることができます。
この記事では、世界史の効率的な暗記法を解説します。ぜひご覧ください。
自称暗記エキスパートの私が解説します!
生物・化学・世界史選択という暗記地獄を潜り抜けて現役で医学部に合格し、さらに地歴科目で暗記量ツートップといわれる日本史・世界史選択で京大文学部受験を首席合格で突破しました。
世界史のオススメ勉強法について紹介した記事はこちらから。
世界史が覚えにくい原因5選
まずは世界史の用語が覚えにくい要因を分析してみましょう。
私が考える原因は次の5つです。
「自分は世界史特有のカタカナの暗記が苦手なのだ」と半ばあきらめている人もいるかもしれません。
ですが、諦めるのはまだ早いです。
なぜなら、ドラクエやFFの魔法、モンハンのモンスターの名前は大半がカタカナだけれども、殆どの人は覚えるのにそこまで苦労しないからです。
世界史の用語だって、本当は簡単に覚えられるはずなのです。
これら5つの原因について詳しく解説します。
①世界史に興味を持てていないから
人間、興味のないものを覚えるのは難しいです。
世界史を嫌々勉強している場合、用語は単なるカタカナや漢字の羅列にしか見えないはず。
そのような状態で暗記しようとしても、全く頭に入ってこないでしょう。
先程例に挙げたゲームの場合、興味をもって楽しみながらプレイするからこそ、苦労せずに覚えられるのだと私は考えています。
ですから、世界史も関心を持って取り組むのが重要です。
②世界史の人名は似ているものが多いから
世界史の人名には、似ているものがとても多いです。例えば、チャンドラグプタ王とチャンドラグプタ1世。この二人は別人です。他にも、ヨーロッパの王はルイ14世とルイ15世のように、紛らしい名前が多いです。
似ているものが多いとなかなか覚えられません。
③用語だけを覚えようとしているから
用語だけを暗記することは、一見効率的に思われるかもしれませんが、実は遠回りの方法です。
世界史の用語は通常、一つの用語に対して関連する用語が沢山あるため。
これらを関連付けながら覚えるほうが楽で効率もいいのです。
④インプットばかりしているから
そもそも、覚えた用語をアウトプットする練習が足りていない場合、暗記の成果を最大限発揮することができません。
暗記科目の勉強ではインプットとアウトプットのバランスが大事です。世
界史の場合、覚えるべき分量の多さからインプットが増えるので、アウトプットの時間が少なくなってしまいます。これでは、覚えていると思っても、いざ問題を前にすると知識が出て来ないことがあります。
アウトプットを通して、必要な知識を引き出す訓練が必要なのです。
⑤触れる回数が少ないから
脳の中で記憶がどのように形成されるか知っていますか?
実は、何度も目にしたり耳にした記憶が、脳の中で強化され長期記憶となります。一方で、一回しか触れなかったものは、記憶が弱体化し忘れてしまいます。
触れる回数が少ないと、受験勉強で重要な長期記憶を形成することができませんし、記憶を保持しておくことが難しくなります。それゆえ、何度も覚えたい用語を見聞きする必要があります。
効率よく世界史を暗記する覚え方は?暗記テクニックを紹介
私が世界史を効率よく暗記するために実践していたテクニックは以下の5つです。
世界史の暗記が苦手な原因を分析したら、次は、その原因を潰します。
このテクニックは先ほど紹介した5つの原因とも対応しているので、ぜひ参考にしてください。
1. ストーリーを楽しみながら覚える
世界史は人の歴史ゆえに、多くのドラマが詰まっています。興味を持てないという人はまず、世界史を題材にした映画やマンガ、小説でストーリーを楽しみながら知るのがオススメです。
これらの方法はハードルが高いと感じる人は、中世ヨーロッパをモデルとしたファンタジー小説やゲームに親しむのもアリだと思います。日本の娯楽作品で描かれる中世ヨーロッパは実情と大きくかけ離れていますが、世界史を学びながらその違いを知るのは楽しいものです。娯楽作品に打ち込みすぎて勉強時間まで削らないように気を付けてくださいね。
実は私が世界史に興味を持ったのも、ヨーロッパ史や中国史に関わるゲームをしまくっていたからでした。
勉強という名目でゲームできるんじゃないかと考えたが故に、世界史を選択しました。実際そんな旨い話はなかったわけですが、このような一見よくない動機であっても、興味を持てるなら万々歳だと考えています。
2. 人の名前は背景・出来事と数字を関連付けて覚える
ルイ14世とルイ15世のような似てる名前ありすぎ問題に対してオススメするのが、その名前になった背景を知るということと、数字と出来事を関連付けて覚えるということです。
先程例に挙げたチャンドラグプタ1世はグプタ朝を建てた人物です。彼は、チャンドラグプタ王の建てたマウリヤ朝に対して憧れを持っていました。そのためにこのような名前をもったと考えられます。この知識を持っておけば、二つの王朝の首都が同じであることも容易に思い出せます。名前の背景を知っておくことは、暗記の一助となります。
数字と出来事を関連付けて覚えるのは、その人物と業績、その治世に起こった事件を合わせて覚えるためです。「〇〇14世は〜した」のように数字から功績を思い出せるといい感じです。
3. 流れを理解してから用語を覚える
世界史の用語を覚える際は、用語だけを暗記する前に流れを理解することを意識してください。
一問一答から始めてしまっている、というように用語だけを丸暗記しようとしている場合は、教科書や講義系の参考書を一気に読破して全体の流れを理解しましょう。
この理解してから暗記する、という方法は他の科目にも応用することができます。特に化学や生物など理科系科目でも役立つ方法ですので、是非実践してみてくださいね。
4. アウトプットを増やす
具体的なアクションとしては、通学中に一問一答で重要事項を覚えているか確認したり、授業で扱った分野の問題集を解いたりするのがオススメです。
意識的にアウトプットを増やしましょう。
5. 世界史に触れる回数を増やす
具体的にオススメするのは、自分の覚えていない用語を何度も見たり書いたりすることです。
私は暗記用のノートを作ることをオススメします。
詳しいやり方は記事下部で解説しています。こちらからご覧ください。
世界史の暗記で一番大事なことは?
「タテ」と「ヨコ」の流れをつかむことが一番大事
世界史は世界全体の歴史を扱う科目ですので、タテとヨコの流れが存在します。
タテ軸が時代、ヨコ軸が地域のイメージです。
先程、丸暗記する前に流れを理解するのが良いと述べました。タテとヨコを意識しながら流れを掴むことは、暗記しやすく且つ記憶を定着させるために重要なのです。
これを実践するには、タテの流れを理解したあとに、ヨコ軸を見ていくのがオススメです。教科書や講義系参考書を読み終わった段階では、大抵タテ軸の断片的な理解は進んでいますが、ヨコ軸への解像度が低いまま。
ですので、タテ軸の理解を補強しつつ、ヨコ軸を意識して学習する必要があるのです。
ここから「タテ」と「ヨコ」の流れを掴む暗記法3ステップを紹介しています。ぜひご覧ください。
京大生が教える世界史の暗記法3ステップ
世界史で重要な「タテ」と「ヨコ」の流れを理解し、楽に用語を暗記するために、私がオススメする方法を紹介します。
①「タテ」軸を意識しながら通史を理解する
まずは、世界史全体のストーリーである通史を把握しましょう。
一つひとつの単語を覚える前に、大枠を理解したほうが記憶が定着しやすいからです。
この時、各地域内の因果関係=「タテ」を大雑把に理解すると良いです。
ここでは、細かい部分にはとらわれず、読書感覚でどんどん先に進めることを意識しましょう。
通史の理解のためには、教科書や講義系参考書を用いるのがオススメです。
記事下部でオススメの参考書を紹介しています。
②問題集を解きながら、「タテ」と「ヨコ」の流れを定着させる
通史の理解が終わったら、早速問題集を解いてアウトプットしてみましょう。
世界史の問題には、「タテ」と「ヨコ」のつながりを理解しているか問うものが多いです。
通史を学ぶ際に「タテ」の流れを理解できているか、問題を解く中で確認・定着させましょう。
問題で問われる「ヨコ」のつながりには、頻出のものがあります。十字軍の影響、モンゴル軍の影響、大航海時代など、世界が連動した局面についてよく問われるのです。
ですので、「ヨコ」を理解する際は、実際に問題で問われた事項から学ぶのが効率的です。
具体的には、間違った問題や迷った問題の復習として「タテ」と「ヨコ」の流れを調べる、というのがオススメです。付属の解説や教科書、資料集、参考書等を活用し、分からない部分を残さないよう徹底的に理解しましょう。
間違った問題は時間を置いて再度解き直し、完璧に知識が定着しているか確認すると良いです。
問題集は、簡単なものやボリュームが少ないものから始めましょう。
その後、志望校や自分の実力に合わせて徐々に難易度を上げていくのが重要です。問題演習の最終段階として、過去問を解くのが理想です。
③暗記用のノートを作る
覚えづらい事項は、暗記用のノートを作ることで覚えましょう。
覚えていない事項を1冊のノートにまとめ、何度も見ることで効率よく暗記できます。
具体的には、下の6ステップで作成するのがオススメです。
暗記用ノートのオススメ作成法6STEP
- ①新しいページに縦線を引く
- ②左側に覚えたい言葉を書く
- ③右側にその定義や関連する事項を書く
- ④時間を置いて、左の単語を見ながら右の定義を思い出せるか確認する
- ⑤覚えた事柄に斜線を引く
- ⑥④と⑤を繰り返す
私はこの方法を使って世界史の偏差値を爆上げし、京大入試の世界史で9割近く得点できました。
簡単に実践できる方法ですので、あなたも一度お試しくださいね。
世界史って具体的に何を覚えれば良いの?世界史で覚えるべき5要素
世界史で絶対に覚えるべき5要素はこちらです。
①用語
共通テストレベルでは、最低限教科書の太字や赤字の用語を暗記しましょう。
国公立大学二次試験レベルでは、志望校により差はありますが、教科書本文に出てくる用語を全て覚えるのが理想です。少なくとも、8割は覚えていた方が良いです。
早慶上智といった難関私大では、教科書レベル以上の用語の暗記が求められます。 一般の教科書と併せて、資料集に出てくる用語や難易度の高い問題集に載っている用語を暗記しましょう。
世界史で覚えるべき用語がまとまったオススメ参考書はこちらで紹介しています。
②用語の内容・解説
用語自体の意味や、その解説のことです。
「○○とは?」という質問に対して、一対一対応で定義を言えれば十分です。
③時代(年号)
出来事が起こった時代や、人が活動していた時代、作品が作られた時代は覚えておきましょう。
「模範議会は13世紀末」や、「ペトラルカはルネサンス初期の詩人で14世紀」レベルの認識で大丈夫です。ただし、現代に近い20世紀の出来事は、「1960年代前半」などもう少し詳細に時代を把握しておいた方が良いです。
年号は、無理して全てを覚える必要はありません。細々とした年号以上に、なぜそれが起こったのか、そしてそれがどのような影響を及ぼしたのか、というタテの流れを理解する方がよっぽど重要です。
ただ、重要な出来事の年号は覚えておくと便利です。特に、条約の年号は覚えておいてもよいでしょう。
絶対覚えたほうがいいおいしい年号3選を紹介します。全て紀元後です。
あなたは下の3つの年号を見て、何が起こった年かイメージできるでしょうか?
絶対覚えたほうがいいおいしい年号3選
- ①1453年
- ②1648年
- ③1869年
①は英仏百年戦争の終結&ビザンツ帝国滅亡の年です。ビッグな出来事が二つも起こっています。
②三十年戦争の講和条約としてウェストファリア条約が結ばれた年。西欧における主権国家体制形成の契機となりました。
③これは”the 開通の年”です。スエズ運河とアメリカ大陸横断鉄道が開通しました。一粒で二度おいしいので、ぜひ覚えておきましょう。
④地理的情報
地名や領土等の大まかな位置はイメージできるようにしておきましょう。
近年の入試問題では、資料として地図を扱う問題も増加傾向にあります。共通テストでは地図問題が頻出なので、地理的情報の暗記はマストです。
地理的情報は、資料集の地図を使って覚えるのがオススメです。問題を解く際や教科書を読む際に、用語を見て場所がイメージできなかったら、その都度資料集でチェックする癖をつけましょう。地理的情報の暗記には時間がかかるので、日頃の学習の中で少しずつ取り入れてみると良いです。
⑤(文化史の場合)作品のイメージ
絵画や彫刻、建築といった作品は、作品名、作者、時代、地域、何主義か、と併せて、その作品のイメージを覚えておきましょう。
教科書や資料集に写真が載っているレベルのものを覚えれば十分です。
特に共通テストでは、写真を提示して答えさせる問題が頻出です。
写真から、作品名や作者名、時代や国名を関連付けて思い出せるようにしておきましょう。
世界史っていつから勉強すれば良いの?
高3夏から受験勉強を始めるのが理想
文理問わず、高3夏から本格的な受験勉強を始めるのが理想です。
夏の間に通史を終え、秋から演習に移行できるととても良いです。
他科目との兼ね合いもあるため、あまりに早く受験勉強を始めるのも考えものです。
多くの場合、世界史は英数国に比べて優先度が低いです。
夏までは、学校の授業で扱った範囲について教科書を読んだり、問題集を解いてアウトプットしたりするのがオススメです。分量としては、土日に1〜2時間勉強すればよいでしょう。
世界史のオススメ勉強法については、下の記事で詳しく紹介しています。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
【PR】目的別オススメ参考書
インプット編
①タテから見る世界史 パワーアップ版
世界史の国ごとの知識が分かりやすくまとめられています。
別冊のまとめはレイアウトが見やすく、世界史の知識整理に役立ちます。
②『一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書』
歴史全体のストーリーが簡潔にまとめられています。
語り口が易しく、教科書に抵抗がある人でも読み進めやすいです。
各地域の歴史ごとに記述してあるため、「タテ」の流れの理解にはピッタリです。
アウトプット編
①世界史B 標準問題精講
MARCHや早慶レベルの入試問題に近いハイレベルな問題が演習できます。
難関大志望の人にとって、買って損はないでしょう。
②ビジュアル世界史問題集
世界史の重要事項が地図問題として整理されているため覚えやすいです。
地図問題が苦手なあなたに是非取り組んでほしい一冊です。
③山川世界史一問一答
一問一答形式の問題集で、よくまとまっています。
重要事項が過不足なく問われており、難関国公立志望までこれで対応できるでしょう。
早慶志望にはやや物足りないです。
【まとめ】世界史の暗記は「タテ」と「ヨコ」の流れが重要!
世界史の暗記では、「タテ」と「ヨコ」の二軸の流れを理解することが非常に重要です。
「タテ」→「ヨコ」の順番で理解しましょう。
インプットとアウトプットをバランスよく行うことも大切です。
これを実践するためのオススメ暗記法3ステップをおさらいします。
- ①「タテ」軸を意識しながら通史を理解する
- ②問題集を解きながら、「タテ」と「ヨコ」の流れを定着させる
- ③暗記用のノートを作る
この方法で暗記すると、単語や流れを忘れにくくなります。
これで皆さんも、「世界史用語が覚えられない」と悩むのも今日までです。
世界史の暗記が上手くいかず困っているなら、まずは「タテ」を意識しながら通史を読んでみることから始めてみてください。