こんにちは!スタペディア編集部の巽です。
今回は、受験生の多くが伸び悩む「共通テスト漢文」をマスターする方法を紹介します。
実は、共通テスト国語の「漢文」は少しのコツで得点を上げられる科目なのです。
この記事では、共通テスト漢文の問題形式や傾向から、勉強法や本番での解き方のコツ、オススメの参考書まで、詳しく解説します。ぜひ最後まで読んでいただいて、共通テスト漢文で満点を狙っていきましょう。
傾向を掴んで効率よく対策していきましょう!
1. 共通テスト漢文ってどんなテスト?
1. 共通テスト漢文の問題形式
共通テスト漢文の問題構成例
問 | 出題内容 | 配点 |
---|---|---|
1 | 漢字の意味 | 12(4×3) |
2 | 書き下し文の解釈 | 7 |
3 | 読解問題 | 7 |
4 | 読解問題 | 5 |
5 | 漢字の読み | 5 |
6 | 読解問題 | 6 |
7 | 読解問題 | 8 |
共通テスト漢文は、国語200点の内50点分を占めています。
問題形式は年度によって多少変わりますが、小問6〜7問構成が多いです。
小問毎の特徴も見てみましょう。
問1:漢字の意味
本文中の単語の意味を答える問題が3つ出題されます。
簡単かつ頻出の漢字しか問われないので、必ず得点したい問題です。
問2:書き下し文の解釈
本文中の一部分の書き下し文・日本語訳が問われます。
頻出の句法を覚えていれば、比較的容易に解けるはずです。
問3, 4, 6, 7:読解問題
本文中に傍線が引かれ、該当箇所の内容理解を問う問題です。
読解問題といっても、簡単な句法や単語を理解していれば、難なく解けるレベルです。
多くの問題は、傍線部の前後に正解の根拠があるので、注意して読み進めましょう。
問5:読み
本文中の一部分の読みが問われます。
幅広いジャンルから出題されます!
2. 共通テスト漢文の難易度
センター試験と比較すると、少し難易度が高めです。
センター試験は、各科目平均点が6割程度になるように作られていました。一方で共通テストは、プレテストは各科目平均点が5割程度を目指して作られたとされています。実際の平均点を比較しても、1割ほど共通テストが低くなっているので、センター試験よりやや難化している傾向にあります。
しかし、冒頭でも述べた通り、国語の中では、現代文・古文と比較して得点しやすい科目です。
上で紹介したように、漢文は、書き下し文や簡単な読解問題しか出題されないので、少しの学習で満点近く得点できます。一番コスパの良い科目ですね!
難関大学を目指すなら漢文は落とせない分野です!
3. センター漢文との違いは?
センター漢文との違いが気になる受験生も多いと思いますが、特別大きな変更点はありません。
難易度以外の主な変更点は、文章の数です。
センターは、一つの文章が扱われていたのに対して、共通テストでは2〜3つの文章が扱われます。共通テスト2022では、漢詩とその序文が出題されました。
これにより本文全体の分量が少し増加したので、センターのときよりもスピードが重要視されると言えます。
4. センターの過去問は対策に使えるの?
私の指導経験上、「センターの過去問って共通テスト対策に意味あるの?」という質問が非常に多いです。
この質問は漢文に限ったことではないと思いますが、共通試験の過去問はまだ年数が少ないので、センターの過去問で代用したくなる気持ちは大いにわかります。
結論から言うと、漢文に関しては、センターの過去問は共通テスト対策に使えます。
というのも、漢文は他の科目・分野と比較して、センターからの変更点が少ないです。
むしろ、センター・共通テスト共に頻出の句形などがあるので、センターの過去問演習は不可欠で、到底共通テストの過去問だけでは足りません。
センターの過去問まで遡って頻出のパターンを身に付けておきましょう。
5. 共通テスト漢文「漢詩」問題の解き方
共通テスト2022では、センターでほぼ出題のなかった漢詩が扱われました。
漢詩を解く上で最も重要なことは、漢詩のルールを覚えることです。
漢詩の中には「句」というまとまりがあり、四句で構成される「絶句」、八句で構成される「律詩」が頻出です。
また、一句の字数が五言の絶句であれば「五言絶句」、七言の律詩であれば「七言律詩」のように呼ばれます。
以上をふまえた上で基礎的な形式として、「押韻」と「対句」を説明します。
漢詩のルールを一つずつ整理していきましょう!
①押韻
一句の最後の字を同じ韻にすることで、日本語における「韻を踏む」に近いです。
五言の詩では偶数句の最後、つまり2句と4句の最後が「押韻」の場所です。
七言の詩では最初の句と偶数句の最後、つまり1句と2句、4句の最後が「押韻」の場所です。
李白の「早発白帝城」であれば、七言絶句なので、1、2、4句の最後が押韻の場所です。
「間(kan)」「還(kan)」「山(san)」と全て~anで揃っていますね。
②対句
連続している2句の文法上の構成が同じことです。
杜甫の「春望」は2句共に、1、3、4番目の漢字が「主語」、2、5番目の漢字が「述語」となっていて、対句になっています。
このような漢詩のルール・基礎形式を押さえておくことで、漢詩の問題は解けます。
センター過去問と合わせて、対策しておきましょう。
2. 共通テスト漢文で高得点を取るには?
一通り共通テスト漢文の概要や傾向を見てきました。
漢文の配点は科目全体の25%しかありませんが、得点が低くなりがちな国語の中では、貴重な得点源です。しっかりと勉強して、確実に得点できるように頑張りましょう。
ここからは、共通テスト漢文で高得点を取るための秘訣を伝授します。
1. 共通テスト漢文の得点伸ばすのに求められる力
共通テスト漢文の得点を伸ばすには、「句法」や「単語」の基礎知識と、演習量が大切です。
共通テスト漢文は句法や単語の知識だけで解ける問題が多いです。また、読解問題も2次試験と異なり選択式で、パターンがあります。
なので、知識を定着させ、問題演習でパターンに慣れれば、おのずと点数が伸びていきます。
基礎知識の暗記から対策をはじめていきましょう!
2. 共通テスト漢文のオススメ勉強法
大前提として、漢文の得点を上げるのに一番効率的な勉強法は「音読」です。
漢文は、言ってしまえば漢字の羅列です。なので、目だけで読んでいると、なかなか覚えられませんし、すぐに疲れてしまいます。
暗記事項を覚えるときや、間違えた問題を復習するときは、声に出して読みあげることを意識しましょう。
以上を踏まえた上で、具体的にオススメの勉強法を順をおって3つ紹介します。
- 返り点を覚える
- 句法を覚える
- 単語帳を活用する
①返り点を覚える
漢文を書き下す・理解する上で、一番基本となるのは「返り点」です。
返り点とは、文中の漢字を読む順序が示されている点のことです。漢文は主語や述語の順序が、日本語と異なるので、そのまま上から読むと、意味がわかりにくいんですよね。
返り点には大きく分けて以下の4種類です。
・レ点
・一二三点
・上中下点
・甲乙丙点
レ点と一二三点が一つになった「一レ点」が使用されることもあります。
これらのルールをマスターしなければ、漢文を読むことすらできません。覚えていない受験生は、一番初めに返り点をマスターしましょう。
オススメの勉強法は、やはり「音読」です。教科書や参考書に載っている例文を数回音読すれば、ルールを覚えられるでしょう。
②句法を覚える
返り点を覚えたら、次は「句法」を覚えましょう。
句法というのは、英語における「文法」のようなものです。句法の種類の例として以下のようなものが挙げられます。
・受身
・使役
・否定
・反語
・比較
他にもありますが、共通テストでよく問われるのは上の5つです。
暗記すべき量は100個程度と少ないです。一通り、返り点の位置・読み方・意味を覚えたら、あとは例文を音読して定着を図りましょう。学校の授業で扱った文章を例文にすれば、テスト勉強も同時に進んで、一石二鳥ですね。
暗記すべき量は限られてます!
③単語帳を活用する
返り点、句形をマスターしたら、次は単語を覚えましょう。
単語と聞くと、英単語のように膨大な数を覚えなければならないように思えます。
しかし、共通テスト漢文に必要な単語は150語程度です。共通テスト英語で必要な単語は、約5,000語とされているので、これと比較するととても少ないですね。
ここでオススメの勉強法は、教科書や参考書で分からなかった単語を、その都度意味を調べてまとめた「My単語帳」を作ることです。そして、復習の際に見返して、暗記できたと思った単語は、×を付けたり単語帳から外したりすれば良いのです。
もちろん、市販の単語帳を購入しても良いと思います。ただ個人的には、150語程度であれば、単語がたくさん掲載されている市販のものよりも、My単語帳の方が効率は良いと思っています。
市販のものでオススメの単語帳も下で紹介しているので、購入する場合は参考にしてください。
京大生オススメの参考書です!
これらの①〜③が「一通り終わった」、あるいは「すでに完璧だ」という受験生は、あとは他の科目と同様に、問題演習や過去問演習に取り掛かりましょう
共通テスト漢文の中には、句法や単語を暗記しているだけで解ける問題も多いので、初回でもそれなりにすらすら解いていけると思います。
また、上で述べた通り、センターの過去問も共通テストの対策として十分な効果があるので、大いに活用していきましょう。
センター・共通テスト合計5年〜10年分を目安に過去問演習を重ねましょう。
3. 共通テスト漢文を解くときのオススメの戦略
国語全体の試験時間は80分ですが、現代文は時間がかかるので、単純に4等分してはいけません。漢文に充てる時間は10分〜15分に抑えましょう。
予想問題・過去問演習をする際も、このくらいの時間を目安に解く練習をしましょう。
その上で、素早く正確に解き進めるための戦略を紹介します。
①問題文を先に読む
多くの受験生は、制限時間に追われていきなり本文を読み始めますが、あまり効率的ではありません。本文を読む前に、一度設問文に目を通しましょう。
先に問題を見ておくことで、解答に必要な要素を拾いやすくなります。
この戦略をする上で一つ注意点があります。逆に、本文を読まずとも解けそうな問題がたまにありますが、だからと言って該当箇所を読み飛ばして解き進めるのは御法度です。共通テスト漢文には、一見簡単そうに見えて、本文をよく読むと答えの違うパターンが多いです。
あくまで先に問題文を読むだけで、決して本文をスキップして良いというわけではないので、気をつけましょう。
②本文は一旦最後まで読む
漢文では、オチのある文章がよく取り上げられます。本文を読み進めている途中で、よくわからない箇所が出てきても、一旦最後まで読んでみましょう。オチや先の展開を把握してから戻ると、理解できることも多々あります。
私の場合は、最初の4, 5分で一度本文全体を読み、2周目で問題を解き進めていました。
ちなみに、リード文や注釈を飛ばす受験生は多いですが、絶対に読みましょう。リード文や注釈に書かれている人物関係や状況設定から、本文の内容が理解しやすくなる場合も多いです。
③傍線部の前後に注目する
問3〜7の読解問題では、傍線部の前後に解答のヒントや根拠が書かれている場合がほとんどです。耳にタコができるほど言われる戦略ですが、共通テスト漢文ではとくにこの傾向が強いので、改めて傍線部付近に注目して読み進めましょう。
また、頻出の理由説明問題では「故に」など理由を表す語句を探してみましょう。傍線部付近にそれらがあれば、すぐ下に正解の要素がある場合が多いです。
ひとつずつ整理して、正確に解いていきましょう!
3. 【PR】オススメの参考書・問題集をレベル別に紹介!
1. 基礎(共テ6~8割レベル)
「句法」や「単語」など基礎知識の定着には以下の参考書がオススメです。
①漢文ヤマのヤマ 共通テスト対応版
「返り点」「句法」「単語」をまとめて覚えられます。
確認問題も載っているので、暗記できているかどうかをチェックすることもできます。
漢文の勉強のスタートにはもってこいの一冊です。
②文脈で学ぶ 漢文句形とキーワード
共通テスト漢文に必要な単語は少ないので、「句形」「単語」だけを集約した参考書はとても貴重です。
句形をメインに扱っていて、重要単語リストもついています。載っている単語はそれほど多くありませんが、一通りマスターすれば共通テストの語彙で困ることは無いです。
③漢文早覚え速答法 共通テスト対応版
句法が10パターン練習問題つきで収録されていて、インプットとアウトプットを同時に行えます。
加えて、頻出漢字と受験のウラわざも載っていて、暗記を最小限かつ効率的に進められる一冊です。
2. 発展(共テ8割~満点レベル)
問題演習でパターンに慣れるには以下の参考書がオススメです。
①共通テスト漢文満点のコツ
「読み・意味」「句法」「読解」が章別で掲載されています。
「共通テスト対策はこの一冊で十分!」と言っても過言ではないです。
時間がない受験生にとくにオススメできる一冊です。
②基礎からのジャンプアップノート漢文句法・演習ドリル
基礎から共通テストまでに必要な漢文の「句法」を章別にまとめたノート型演習書です。
丁寧な解説に加えて、「基礎演習ドリル」「実践演習問題」と豊富な演習で、「読む力」「解く力」の定着が狙えます。
3. 実践(問題集)
「句法」や「単語」が一通り定着し、演習問題で問題パターンに慣れたら、実践形式の演習に入りましょう。
実践演習には以下の問題集がオススメです。
①Z会 共通テスト実践模試 国語
予想問題が6回分収録されています。
共通テストの本試に近い形式で作成されているので、基本事項や時間配分の確認に役立ちます。
②共通テスト過去問研究 国語(2023年版共通テスト赤本シリーズ)
上で述べたように、センター試験の過去問も共通テストの対策として活用できます。
共通テストの予想問題集は数が少ないので、先に赤本で形式に慣れてから、予想問題集で最終確認することをオススメします。
まとめ
今回は、共通テスト漢文の概要と、勉強法について紹介しました。
- 共通テスト漢文の問題形式は、従来のセンター漢文とほぼ同じ
- 高得点をとるには、「句法」や「単語」の知識とパターンに慣れることが大切
- センター漢文の過去問も共通テスト漢文の対策に使える
繰り返しになりますが、漢文は「句法」と「単語」を暗記するだけで得点源にできる科目です。これほどコスパの良い科目はなかなかありません。
上で紹介した勉強法や参考書などを参考に、勉強を進めて、ぜひ満点を狙っていきましょう!