【大学受験】調査書とは?内容・もらい方を徹底解説!

皆さんは大学受験に必要な調査書についてしっかり理解していますか?

名前は聞いたことがあるけれど、内容や合否に与える影響についてはあまり知らないという人が多いと思います。
実は、調査書を合否判断に使う大学が年々増えているのです。

しかし、毎年のように規定が変更されており、調査書の扱い方は非常に複雑です。

この記事では、調査書の内容やもらい方から、合否に関係するのかに至るまで徹底的に解説します。

大学受験に必須の調査書について理解すれば、受験勉強を有利に進める手立てになること間違いなしです。

調査書とは?何に必要なの?

大学受験における調査書とは、受験生の学業成績や課外活動などの情報がまとめられた書類のことです。調査書は高等学校によって作成され、受験生はこれを出願の際に大学に提出しなければなりません。

大学入試においては、原則として全ての大学が受験生に調査書の提出を求めることになっています。調査書を合否判定に用いるかどうかは大学や入試方式によって異なりますが、調査書を選抜に使用する大学は年々増加しているようです。

大学を受験するには、高校の単位を履修していることが必要です。基本的に調査書は、この資格があるかどうかを判断するために使用されます。これに加えて、学業成績や活動実績などを合否判断の際に考慮する大学もあります。

調査書の内容を徹底解説!

調査書には受験生のさまざまな情報が記載されています。基本的な様式は文部科学省によって規定されているので、ここではそれを元に内容を徹底解説します。

【最新版】調査書の様式

調査書は文部科学省の規定する様式に従って作成されます文部科学省のページ【調査書(様式)】で、公開されている調査書の様式を確認することができます。

調査書に記載される9項目

調査書には、以下の9項目が含まれます。

1. 受験生の基本情報

氏名・住所・出身高校などが記載されます。

2. 各教科・科目の学習の記録

各学年で取得した各教科の成績が記載されます。

3. 各教科の学習成績の状況

高校3年間の各教科の成績がまとめて記載されます。

4. 学習成績概評

出身高校における成績の分布の割合と、受験生がどこに属するかが記載されます。

評定平均5.0~4.3がA、4.2~3.5がB、3.4~2.7がC、2.6~1.9がD、1.8以下がEとなります。

5. 総合的な学習の時間の内容・評価

2022年度から新たに学習指導要領に盛り込まれた「探求学習」と呼ばれるものです。これについて具体的な活動内容や評価も含まれます。

6. 特別活動の記録

各学年で取り組んだ活動の情報が記載されます。委員会や生徒会活動、学校行事における役割などが学年ごとに記載されるようです。

7. 指導上参考となる諸事項

①学習における特徴等
②行動の特徴、特技等
③部活動、ボランティア活動、留学・海外経験等
④取得資格、検定等
⑤表彰の記録等
⑥その他

これらの情報が学年ごとに記載されます。

8. 備考

上記以外で記入すべき内容が記載されます。また、大学は受験生について、大学が規定する特定分野で特に優れた能力や適性がある場合、その旨を記載するように高校に求めることができるようです。

9. 出欠の記録

授業日数と出席/欠席日数などが記載されます。

学業成績以外も含まれる

上で見たように、調査書には学業成績以外の情報も含まれます。

具体的には、部活動・ボランティア・留学・資格・表彰・委員会・生徒会活動なども記載されます。

部活動や留学や資格取得などには時間も費用もかかりますし、結果を出すのもそんなに簡単なことではありません。しかしこのような場合でも大丈夫です。校内の委員会活動や生徒会活動の参加状況や、日々の生活や学習の様子も調査書には記入されます。

必ずしも華々しい実績を残す必要はありません。高校時代にさまざまなことに興味を持って、チャレンジした姿勢が評価されます。最終的に合否判断に使用されないとしても、間違いなく良い経験になるでしょう。

2025年度入試より様式変更あり

実は2025年度の大学入試から、調査書の様式が変更されることになっています。調査書を作成する教員の負担軽減のために変更が行われるようです。変更内容は以下のようになっています。

  • 6.特別活動の記録

変更後は「ホームルーム活動」「生徒会活動」「学校行事」と分類され、各学校が設定した観点から十分満足できる活動状況にあると判断した場合に、学年ごとに「〇」を記入するだけでよくなります

  • 7.指導上参考となる諸事項

現行の6つの分類がなくなり、要点を学年ごとに箇条書きする様式に変わります。

変更による大きな影響はないと言われています。ただし、全体的に記載事項が減るため、担任が何を記載するかの取捨選択を迫られる可能性があるでしょう。この場合、生徒側から志望大学のアドミッションポリシーに適う内容を入れてもらえるように担任に伝えることも大事になってきます。

調査書は合否に関係する!入試・大学別に解説

現段階では、調査書そのものが合否を大きく左右するケースは多くありません。

しかし、合否の判断に調査書を用いると公表している大学は年々増加しています

また、入試方式によって異なることもあるので注意が必要です。

ここでは調査書を合否判断に使う大学や入試方式について解説したいと思います。

調査書を使う入試方式

大学入試には以下の3つの入試方式があります。それぞれで調査書がどのような立ち位置にあるのか解説します。

  • 学校推薦型選抜

出身高等学校長の推薦に基づき、調査書を主な資料として合否が判断されます。他の入試方式と比べて調査書の比重が高いと言えるでしょう。

  • 総合型選抜

調査書、活動報告書、志望理由書、大学での学修計画書などの書類の審査と、面接・小論文・実技試験または共通テストを利用する入試方式です。公募制のため、受験生が自ら作成した活動報告書や志望理由書や学修計画書が重視されることになっています。

  • 一般選抜

学力検査、小論文、面接などによる選抜方式です。調査書の内容を合否判断に使用するかどうか、使用する場合はどのように使用するかは大学により異なります

調査書を使う大学

2021年度入試より、一部の国公立大学が、調査書の内容を点数化し、これを合否判断に使用するようになりました。

点数化の方法や、合否判断における割合などは大学ごとに異なります。また、同一の大学でも、学部によって調査書の扱いは異なります。詳細は変更される可能性があるので、大学の募集要項をしっかり確認する必要があるでしょう。

以下が、調査書を点数化して合否判断に使用することを公表している大学の一例です。

  • 東北大学
  • お茶の水女子大学
  • 東京外国語大学
  • 東京都立大学
  • 金沢大学
  • 大阪公立大学
  • 熊本大学

以下が、調査書の利用方法の一例です。

  • 合否ラインに同点で並んだ志願者のもののみ点数化する
  • すべての志願者のものを点数化する
  • 面接の参考資料とする

調査書のもらい方は?現役・浪人別に解説

調査書は高校に申請して作成・発行してもらう必要があります。ここでは、現役生/浪人生別に調査書のもらい方を解説します。

【現役生】調査書のもらい方

ほとんどの高校では、「調査書発行願」などの書類を提出する必要があります。保護者の署名や捺印の欄があることも多いです。口頭で依頼したり、急に発行してもらうことはできないと考えておきましょう。

書類を提出すると、発行期日を通知されます。期日になったら直接学校に受け取りに行きましょう。一部の高校では郵送してもらえる場合もあるようです。その場合は郵送代や返信用封筒なども準備する必要があるかもしれません。

申請・受け取り方法の詳細に関しては、高校によって規定が異なります。不明点があれば必ず学校に確認しましょう。調査書は出願の際に必ず必要です。とにかく時間と枚数には余裕を持って申請・受け取りを行うようにしましょう。

【浪人生】調査書のもらい方

浪人生の場合も、調査書のもらい方は現役生と基本的には同じです。

ただし、注意すべきポイントが4つあります。

  • 校舎に入れるかどうか事前に確認しておく

学校行事・休校日などで卒業生は校舎に入れない場合があります。事前に電話などでアポをとってから申請や受け取りに行くのが良いでしょう。

  • 調査書の発行期限を確認する

卒業後一定期間しか調査書を発行できないとする高校もあります。調査書がなければ出願ができませんから、しっかりと確認しておきましょう。

  • 卒業証明書も一緒に申請する

共通テストを受験する場合は、出願時に卒業証明書が必要です。共通テストの出願は9~10月ごろに行われますから、それに間に合うように申請しましょう。調査書と卒業証明書のために2度も高校を訪問するのは面倒なので、同時に取得するのがおすすめです。

  • 調査書が手に入らないことがある

卒業後一定期間が経過し、出身学校から調査書が発行されない場合は、卒業証明書や成績証明書、単位修得証明書などを提出する必要があるようです。対応は大学によって異なるので、まずは問い合わせることが大切です。

調査書で高評価を得るためのポイント4選

まずは内申点を上げる

調査書の評価をあげるのに必要なのは、まずは学校の成績を上げることです。

成績評価は平常点と定期テストの成績に基づいて行われます。忘れずに課題を提出したり、定期テストで良い成績を取ることなどを意識しましょう。

課題や発言など、授業に真面目に参加することで平常点は上がります。継続的に学習に取り込むことで定期テストの成績も上がっていくことでしょう。

疑問点がある場合は先生に質問に行くのも有効です。疑問点を解消するだけでなく、先生に積極性をアピールすることもできるでしょう。

スタペディアでは、現役京大生が各教科の勉強法を解説する記事も公開しています。そちらも是非ご覧ください。

部活に打ち込む

部活動の情報も調査書に含まれます。特に部長などの役職についたり、大会で入賞したりすればそれも記載してもらえます。

部活を途中で辞めてしまった場合、どのように記載されるのか気になっている人もいるかもしれません。部活を辞めた場合でも、その理由などは記載されません。部活をしていない期間に関しては「特記事項なし」となるだけです。

部活を辞めたことで評価が下がるのではないかという部分に関しては、あまり心配する必要はないでしょう。

課外活動に力を入れる

課外活動の情報も調査書に含まれます。ボランティア活動や高校での委員会・生徒会活動に参加したり、海外留学などを考えてみるのも良いでしょう。

以下は、高校生が取り組みやすいボランティアの一例です。

  • 学校関連のボランティア

オープンキャンパスなどの高校で実施されるイベントのお手伝いなどは高校で募集があることが多いです。友人も誘いやすいですし、機会があれば挑戦してみると良いでしょう。

  • 地域活動

学校の通学路での交通安全活動や防犯パトロール、地域のお祭り、児童館や子ども食堂、高齢者や障害者向けの施設でのお手伝いなどが考えられます。地域によっては、雪かきのボランティアなどというのもあるようです。

自分の住む市区町村のホームページなどで、募集中のボランティアの情報をチェックしてみましょう。

資格取得に取り組む

資格や検定の取得の情報も調査書に含まれます。

大学受験に役立つ資格としては、以下のものが考えられます。

  • 英語関連の資格
    • 英検(実用英語技能検定)
    • ケンブリッジ英語検定
    • TOEFL iBT
    • IELTS
    • TEAP
    • GTEC
    • TOEIC
  • 漢検(日本語漢字能力検定)
  • 数検(実用数学技能検定)
  • 理検(実用理科技能検定)
  • ITパスポート試験

大学が評価する資格を指定している場合もあるので、まずは募集要項を確認してみましょう。また、調査書の発行に間に合うタイミングで取得しなければ意味がありません。試験の実施日程や資格の交付日時をしっかり確認しておきましょう。

調査書に関するよくある質問

実は調査書に関する情報はあまりなく、いろいろ疑問を抱く受験生も多いです。ここでは調査書にまつわるよくある質問に回答します。

調査書をもらう時期は?いつ申請する?

調査書の作成にはかなり時間がかかります。基本的に、出願で必要になるタイミングの3週間前には高校に申請しておくと良いでしょう。

  • 総合型選抜

8〜9月ごろに出願が始まる場合が多いです。夏休みの時期も考慮して、休みに入る前に申請しておくと良いでしょう。

  • 一般選抜

年明けより出願が始まります。2学期の終わりまでに申請しておくと良いでしょう。

  • 学校推薦型選抜

10~11月ごろに出願が始まる場合が多いです。夏休み明けには申請しておくと良いでしょう。

注意点として、発行されてから3ヶ月以内の調査書しか認められない場合があります。あまり早くにもらいすぎると出願の際に有効期限が切れてしまって提出できません。出願の時期を考えて計画的に調査書を取得しましょう。

出願の時期は大学ごと・入試方式ごとに異なります。大学のホームページや募集要項などで正確な日程を確認し、忘れないように控えておきましょう。

調査書は何枚必要?

調査書は出願する大学の数だけ必要です。また、同一の大学を受験する際でも複数の学部に出願する際はその分も必要です。さらに、複数日程で出願する場合は、その分も用意しなければなりません。

私立大学は、入試方式や学部、入試日程などが非常に複雑です。早めにどの入試を受けるのかを決定して、余裕を持って調査書の申請を行いましょう。

国公立大学は、私立大学に比べると比較的入試システムが簡単です。しかし前期試験の結果によって後期試験を受験することを考えている場合は、その分の調査書も必要なので注意しましょう。

出願を途中で変更することもあり得ます。調査書は少し多めに取得しておくと良いでしょう。

発行には料金がかかる?

調査書の発行には料金がかかる高校もあります。料金の相場としては、200~1,000円程度です。学校によって規定が異なるので、事前に確認しておきましょう。

また、お金がかかるからといって必要最低限の枚数しか申請しないのは危険です。出願までに紛失してしまったり、出願先に変更があって調査書が不足する場合も考えられます。

学校によっては思いの外高い金額を要求されることもあるかもしれませんが、ここで出し惜しみして後で後悔することがないようにしましょう。

出願先の大学を変更できる?

調査書には出願大学名などは記載されていません。何通取得しても、調査書の内容は全く同じです。したがって、当初考えていた大学とは異なる大学に出願しても大丈夫です。

ただし、学校によっては調査書の申請で生徒の受験大学を把握している場合もあります。申請時より出願先の大学を変更する場合は、それを学校に伝えておきましょう。

申請を忘れてしまった!何とかなる?

調査書の申請を忘れてしまった場合、発行が期日に間に合わければ出願することができません

申請を忘れてしまった場合、まずは高校に出願に間に合うように発行してもらえないか確認しましょう。できる限りサポートしてくれる高校がほとんどだと思います。

募集要項に「不測の書類があれば受験を認めない」と書いてある大学が多いです。ただし、何かしらの形で対応してくれる場合もあります。とにかく一度大学に連絡してみることが大事です。

出願時の書類関連でミスがあった場合は、まずは高校と大学の両方に連絡して指示を仰いでください。

ただ、こうした状況を防ぐために計画的に申請しておきましょう。出願のスケジュールは早くから公開されているので、事前から確認しておくのがおすすめです。

悪いことは書かれる?

担任の先生と折り合いが悪いなど、調査書に不都合なことが書かれるのではと心配している受験生もいるかもしれません。

文部科学省の規定では「調査書は、個人的主観に囚われたり、特別の作意を加えたりすることのないように作成すること」となっているため、特に心配する必要はないでしょう。

ただし、日頃の授業態度が悪かったり、提出物を出さなかったりなどの事情がある場合、入試方式によっては校内選考を通過できず、そもそも出願できない可能性があります。

こうしたケースは稀だと思いますが、学校の授業もあまり手を抜きすぎず受験勉強に励むのがおすすめです。

調査書は開けてはいけない?

学校からは、調査書は開けてはいけないと言われます。自分の情報なのに開けてはいけないと言われると余計気になってしまいますよね。ここでは調査書を開けてはいけない理由や余った調査書をどうすればいいのかを解説します。

開けたら無効?その理由とは?

調査書は開封すると無効になります。開封後の調査書を出願に使用することはできません。これは、受験生が後から改変することがないようにするためです。

合否判断には利用されない場合でも、調査書は大学の受験資格を証明する重要な書類です。改ざん防止のため、文部科学省は今後調査書を電子化することを検討しているほどです。

高校が発行して受験生が発行するというシステムは、大学と高校、高校と受験生という信頼関係に基づいて成立しています。出願前に調査書を開封したということが大学に伝わった場合、高校に迷惑をかけたり、自分にも不利益を生じさせてしまったりする場合があります。

調査書は慎重に扱い、開封しないのが良いでしょう。

高校により作成方針はいろいろ

実は、調査書の作成方法は高校によってさまざまです。

調査書は担任が作成するのが一般的ですが、一部の学校では生徒と担任が一緒に作成する場合もあります。この場合は、生徒も記載される内容を把握していることになります。このように、絶対に調査書の中身を知ることができないというわけではないようです。

この場合も、調査書を開封して中身を確認するといったことはすべきではありません。受験が終わるまでは、上で紹介したようなリスクがあります。

受験後は高校に返却する

出願に使用せずに余った調査書は基本的に高校に返却するのが良いでしょう。

ここまで紹介したように、調査書は受験生の個人情報を記載した重要な書類なので、適当に捨てるのは良くありません。高校に返却すれば適切に処理してもらえるので安心です。

まとめ

今回は、大学受験に必要な調査書について解説しました。

  • 受験生の高校生活の情報が記載されている
  • 出願大学につき1枚必要
  • 高校での発行には時間がかかる
  • 合否判断に使用する大学が増えている

調査書はどの大学に出願する場合でも必要な書類です。

出願時のトラブルを避けるために、もらい方や時期をしっかり確認しておきましょう

また、合否判断に調査書を使用する大学も増えています。

紹介した調査書の評価をあげる方法も参考にしてみてくださいね。

おすすめコンテンツ


日本一詳しい入試分析
京大式勉強法
英作文対策

▼こちらからも登録できます

この記事を書いた人

アバター画像

巽凱希

京都大学工学部に在学中。機械システム工学専攻。
得意科目は数学で、模試で学内1位を連発し、東大模試では全国5位を獲得の実績があります。

スタぺディアでは、監修者を担当、ディレクターとして企画や検証などの品質管理も行っています。