漢文に苦手意識を持っている人は、以下のようなことを感じている傾向にあります。
抱えている悩み
- 漢字ばかりで難しそうな印象
- 勉強のやり方がわからない
- 学校のテストは得点できるが、模試になると急にわからなくなる
しかし漢文は、基礎さえしっかり身に付ければ、誰でも簡単に点数が取れる科目です。
この記事では、実力別のオススメ勉強法・参考書、効率的な漢文の勉強法を紹介します。
安定して漢文で高得点を取りたい、という方は是非読んでみてください。
漢文はコスパ最強!今すぐ勉強するべき理由
実は漢文は、非常にコスパの良い科目なのです。
「コスパがいい」というのは、比較的少ない努力量で、高得点が狙えるということです。
たとえば、英語は、配点が大きく、合否を大きく左右する科目ですが、その分時間がかかりますよね。
漢文は、その逆で、配点が大きく、勉強時間は非常に短い科目なんです。
なぜ漢文がコスパ最強なのか、3つの理由を具体的に説明します。
【理由①】覚えることが少ない
大学受験漢文で、合格点を取ることを目的にした場合、覚える必要があるのはたった2つです。
その2つとは、「句法」と「単語」です。
他の科目と比較しても、覚えることは非常に少ないです。
句法は70個、語句は100語ほどで共通テストに十分対応できます。
漢文のマスターに必要な語数を英語と比較してみましょう。
英語は大学入試のためには、単語だけでも3000〜6000単語も覚えなければいけないと言われています。それに対して、漢文は多くても200語。
英単語の30分の1しか覚えなくていい、と考えたら、漢文の勉強は楽な気がしてきませんか?
漢文は、古文と比べても、覚えるべき文法知識・語句が半分以下なのです。
英単語に比べて、漢文の暗記量が30分の1なのはコスパいいですね!
【理由②】共通テストにおける配点が大きい
漢文は、覚えることが少ない割には、配点が大きいです。
共通テストでは、現代文100点に対して、その半分の50点の配点があります。
国語以外の他の科目と比較しても、漢文は配点が大きいと言えるでしょう。
非常に多くの国名や事柄を覚えなければいけない世界史や日本史が100点に対して、漢文は50点と、半分もの点数がもらえます。
二次試験で出題される場合も、一般的には、大きな配点が与えられます。
東大だと、詳しい配点は公表されていませんが、大問4つのうち1つが漢文です。
単純計算すると、東大国語全体のうち、4分の1の配点があると考えられます。
漢文は、共通テストだけでなく、二次試験の科目としてもコスパ最強といえますね。
【理由③】漢文は、点数が安定しやすい
漢文は、他の科目に比べると、求められるレベルが低いです。
一度コツを掴んだら、毎回高確率で点数を取れる科目です。
他の科目に比べて、漢文は点数が安定しやすい科目になっています。
数学のように、「解法が思いつかなくて解けない」「計算ミスで失点する」といったリスクもありません。現代文のように、文章を深く解釈する必要もありません。
漢文は、書いてある文章の意味をつかめるだけで高得点が狙えるようになります。
【大学受験】漢文の勉強の流れは?
漢文の勉強の全体的な流れとしては、
「基礎知識の習得」→「演習」です。
いきなり演習問題から解くのは避けましょう。
英語の勉強で、文法知識もないのに、いきなり英語の長文を解くようなものです。
毎回、確実に点数を取りたいのなら、基礎知識の習得は必須です。
【要注意】漢文基礎知識チェックリスト
以下のチェックリストに当てはまる人は、必ず基礎知識の習得から始めましょう。
- 学校の定期テストの対策しか漢文の勉強をしていない。
- 共通テスト模試では、基本的に8割とれているが、たまに5割しか取れない。
- 書き下し文の書き方がわからない
- 「不能不」「豈唯」「不亦―乎」の読み方・意味がわからない
- 「故人」「左右」「寡人」の意味がわからない
必ず1冊は、漢文の句法・語句の参考書を購入して、マスターするようにしましょう。
演習問題に取り組むのは、その後で大丈夫です。
まずは、基礎知識の習得が重要。そこから演習をしても遅くないので安心してください!
漢文の基礎知識の勉強法
漢文の勉強は、基礎知識を習得することがスタートです。
まずは、基礎知識を丸暗記しましょう。
丸暗記といっても、漢文は、覚えることが少ないだけでなく、基礎知識の1つ1つも難易度は低めです。
一気に覚えようとはせず、少しずつやっていけば大丈夫ですよ。
漢文の基礎知識とは
基礎知識とは、「書き下し文の書き方」「句法」「語句」の3種類です。
この3つについて簡単に説明します。
【基礎知識①】書き下し文の書き方
漢文には「白文」「訓読文」「書き下し文」の3つの状態があります。
漢文の問題文は「白文」と「訓読文」だけで、「書き下し文」は基本的に出題されないです。書き下し文に直すと、漢文はより日本語に近くなり、理解しやすくなります。
書き下し文を書くために必要な知識は「返り点」「置き字」「再読文字」の3つだけです。
- 返り点:「レ点」「一・二点」「上下点」の3種類です。返り点によって、漢字を読む順番が決まります。
- 置き字:意味は持っているが、書き下し文に直すときに読まない字です。「而」「焉」「矣」「於」「于」「乎」「於」「兮」の7種類あります。
- 再読文字:返り点を無視して一度読み、その後、返り点に従い二度目を読む文字のことです。
「未」「当」「応」「且」「将」「須」「宜」「由」「猶」「盍」の10種類あります。
【基礎知識②】 句法
漢文の句法とは、漢文を読む際の基本的構文や文法事項のことです。
白文をそのまま読めと言われても難しいですよね。句形を知っていれば、句形のパターンに当てはめることができ、漢文が読みやすくなります。
たとえば、使役の句形では「使AB」とあったら「AをしてBしむ」と読むという句法があります。他にも、「受身」「反語」「疑問」「否定」「仮定」など、さまざまな句形があります。
句法の暗記は漢文の勉強でも、最も重要なことの一つですね。
【基礎知識③】語句
漢文における語句は、英語における英単語と一緒です。漢字の意味がわからないともちろん漢文は読めません。
しかし、漢字は日本語と意味の同じものも多く、覚える量は非常に少ないです。漢文特有の漢字や、日本語と意味の異なる漢字だけでいいので、およそ100〜200語程度の語句を覚えれば十分です。
例として、「孤」や「臣」が「私」という意味、「左右」が側近という意味をもつことが挙げられます。
語句をおぼえるときには、英語みたいな単語帳を買う必要はありません。
漢文の参考書は、一冊に基礎知識がすべて収録されているからです。
この記事の最後に紹介している参考書にもまとまっているので、オススメです。
漢文の基礎知識を効率的に覚える勉強法
ここで、漢文の基礎知識を効率的に覚える勉強法を3つ紹介します。
まずは「漢」→「日」だけ覚える
漢文の基礎知識は、まず大ざっぱに覚えましょう。いきなり細かい所をおぼえようとしても意味がないからです。
次に、演習問題を見て、どのレベルまで覚えるべきかを把握します。
- 漢字を見て意味・読み方がわかる
- 日本語から漢文を自分で書けるようになる
上の2つで、覚えるのに必要な労力がまったく違いますよね。
実際に出題される問題を見て、どのレベルまで覚える必要があるのか、確認しましょう。
基本的に共通テストレベルなら、漢字を見て意味や読み方がわかるレベルまでで大丈夫です。
「読んで」、「聞いて」、「書いて」覚える
ただ読むのではなく、実際に書いてみたり例文を音読したりして五感をフル活用して覚えましょう。
とくに書き下し文の書き方、返り点の打ち方などは、自分で書いてみないと覚えられません。
漢文独特のリズムがつかめるようになるので、音読もかなりオススメです。
例文ごと覚える
どうしても覚えられないものは、使われている例文のまま覚えてみましょう。
例文も音読して覚えるのがオススメです。
意外と句法・単語だけよりも例文の方が覚えやすいものですよ。
勉強法を工夫することで、さらにコスパよく漢文を勉強できますね!
【PR】基礎知識の習得にオススメな参考書
漢文の基礎知識を習得するためにオススメな参考書は『漢文ヤマのヤマ』です。
共通テストレベルの基礎知識が網羅されています。
『漢文ヤマのヤマ』は1から漢文を教えてくれる参考書で、70個ほどの句型、100個の重要単語を収録。
演習問題もついているため、知識が身についているかをチェックできます。
漢文の基礎知識は、『漢文ヤマのヤマ』に載っている句形、重要単語をすべて覚えれば完璧です。
現役で京大に合格した私も重宝していました。本当にオススメの参考書です。
漢文の演習問題の勉強法
漢文の書き下しの仕方も句法・語句を学んだら、演習問題を解きましょう。
演習問題を解いて、読解の実力をつける必要があります。
演習問題の勉強法はいたってシンプルです。
参考書を選んでひたすら繰り返しましょう。
ひたすら演習を繰り返すことでさらに知識が深まります。
漢文の演習問題の勉強で意識するべきこと3選
句法も語句も覚えたはずなのに、何を書いてあるのかまったくわからない…。なんてことも。
初めて漢文を読む人がいきなり理解するのは難しいもの。
でも、安心してください。
初心者でも漢文が読めるようになるポイントをまとめました。
今から紹介する3つのポイントを意識して勉強しましょう。
最初はわからなくて当たり前。これから紹介する3つのポイントを意識すれば大丈夫ですよ。
【ポイント1】注釈からヒントを得る
初心者がまず意識してほしいことは、漢文のみで理解しようとしないことです。
問題文には、必ず、日本語で物語の背景や語句の意味の注釈が書かれています。
まずは、日本語の注釈をしっかり読みましょう。
その上で漢文を読んでみると、格段に読みやすくなります。
見たことない語句の多くは日本語で意味が書いてありますし、物語の背景から漢文のストーリーの流れを予測して読むこともできます。
漢文を読む前に日本語で書かれた注釈を見ることは、点数をとるために欠かせないポイントの一つです。
【ポイント2】文構造を意識する
漢文の文構造は日本語とは違って、SVOの構造となっています。
主語が省略されていることも多いです。
日本語を読むような感覚で読んでいると、なかなか意味を理解することは難しいです。
外国語だと思って、主語・述語・目的語のどれなのかを意識して読むことで、文の意味がつかみやすくなります。
【ポイント3】ストーリーに慣れる
漢文には、中国独自の独特なストーリーがあります。
たとえば、動物が喋ったり、天からのお告げがあったりします。
「結論」→「具体例」の文章の構造も、日本語では珍しいですが、漢文では良くあるパターンです。
漢文特有のストーリーに慣れることで、その後の展開や文章の内容を予測しやすくなります。
【PR】漢文のレベル別オススメ参考書
過去問に取り組む前に、取り組んだ方がいいオススメの参考書をレベル別にご紹介します。
①共通テスト対策『共通テスト漢文満点のコツ』
共通テスト対策には、共通テスト漢文満点のコツをオススメします。
この参考書は、初めて漢文の読解問題を解く人向けに作られた参考書で、漢文を読むときのポイントや意識する点などが細かく載っています。解説も丁寧で、まさに、漢文初心者にぴったりの参考書です。
この参考書が終われば、共通テストやセンターの過去問を解いて、さらに読解の経験を積んでいきましょう!
②二次の記述対策『得点奪取 漢文』
二次試験に漢文の記述問題が出る、という人には得点奪取 漢文がオススメです。
難易度が高いので、二次試験には記述問題が出ない、という人はやらなくて大丈夫です。
漢文をさらに得意にするための勉強法
共通テストの演習段階に入って、安定して点数が取れるようになってきた人や、
「漢文の実力をもう一段階アップさせたい」という人が意識したいポイントを紹介します。
解くスピードを意識する
共通テストは「現代文・古文・漢文」の総合点で評価されます。
古文や現代文は、問題量が多く、時間がかかります。そのため、古文や現代文にあてられる時間をなるべく長くするために、漢文を早く解くことが重要です。
漢文の速読のためには、とにかく多くの漢文を読むことが大切です。
多くの漢文に触れることで、漢文特有の文構造や、ストーリー展開、漢文の世界の常識に慣れていきます。
白文から書き下しをしてみる
さらに高得点を取りたい人は、白文から書き下し文が書ける力をつけましょう。
自分で書き下しができるようになれば、文構造、句法が完璧に理解できるようになります。
そのためには、音読が重要です。
数多くの書き下し文のリズムに慣れることで、自然と自分でも書き下し力が身についてきます。
入試に頻出な漢詩の勉強法
漢詩とは、詩の形式の一つで、中国古来のものです。大学入試の文章にもしばしば登場します。
漢詩の勉強法は、基本的に漢文の文章と同じです。
漢文の文章を読む力が付けば、漢詩はほとんど大丈夫です。自然と漢詩も読めるようになります。
ここでは、漢詩の問題を簡単に解くために覚えるべきテクニックが2点あるので、紹介します。
漢詩のルールを把握
漢詩には、「対句」や「韻」などの漢詩だけのルールがあります。
漢詩を読みやすくするためには、漢詩に特有のルールを理解することが重要です。
たとえば、漢文には「対句」というルールがあります。
対句となっている箇所を意識しながら読めば、語句の品詞が判断しやすく、意味が掴みやすいです。
前後の文脈から何を伝えたいのかを推測する
漢詩には、作者の気持ちが込められています。
古文でいうところの和歌と同じです。
前後の文脈から、登場人物の思いを推測して、何を伝えようとしているのかを考えながら読みましょう。
漢文の勉強法に関するよくある質問
よくある漢文についての質問に答えていきます。
漢文は、数学・英語などの主要科目よりも情報が少ないですよね。
スタペディア編集部が受験生からのよくある質問に丁寧に答えていきます!
漢文と古文、どちらの勉強を優先すべき?
古文の勉強を優先しましょう。
なぜなら、漢文は、古文を学んだ後の方が理解しやすいからです。
もともと、漢文の書き下し文は、昔の日本人が中国の文章を日本語に直すためにできたものです。
つまり、「漢文」→「古文」に変換するものが書き下し文。
現代人の私たちは、「漢文」→「古文」→「現代文」と二段階の変換をして漢文を読んでいるのです。
漢文の句法は、古文と被っている句法や、古文の文法を学んでから覚えやすくなる句法が多くあります。
入試1か月前など本当に時間がない場合は漢文の勉強をするべきですが、基本的には古文の勉強からすることをオススメします。
漢文の勉強はいつから始めるべき?
高校3年生までには、一通り基礎知識は覚えておきたいものです。
受験直前には数学や日本史など重たい科目に集中できるように、漢文は冬前には確実に点数が取れるレベルまでもっていきましょう。
漢文はどのくらい勉強するべき?
他の教科の息抜きとして漢文の勉強をしましょう。
他の受験科目と比較して、漢文は比較的負荷が少ない科目なので、毎日10分などコツコツと無理せず取り組むのがポイントです。
【まとめ】漢文はコスパ最強だから対策必須
大学入試は、限られた期間内でどれだけテストの点数を伸ばせるか、の勝負です。
漢文は少ない努力量、短い勉強時間で、比較的簡単に点数を伸ばせます。
そのため、大学入試に合格するためには、漢文の勉強は非常に重要です。
- 学習の流れとしては、必ず基礎知識を習得した後に、演習問題に取り組みましょう。
- 基礎知識は、書き下し文→句法→語句の順に覚えましょう。
- 演習問題では、文構造に意識して取り組むと解きやすいです。その後は、文章を何度も読んで、漢文に慣れましょう。
何度も繰り返しになりますが、漢文は覚えることが少なく、コスパ最強の科目です。
記事で紹介したような漢文の勉強の流れをマスターすれば、漢文を得意科目にするのは簡単です。この記事を参考にして、漢文を得点源にしてください!