こんにちは!スタペディア編集部の水口です。
今回は、主要5教科の中でも、苦手意識を持つ受験生が多い「日本史」の覚え方3ステップを徹底解説します。
とくに、暗記の苦手な受験生は、日本史の勉強で悩んでいると思います。
実は、日本史は少しのコツだけですぐに得点に結びつく科目なのです。
少しのコツは、今回紹介する「覚え方3ステップ」を実践するだけです。
この記事では、日本史という科目についての説明から、覚え方3ステップ、オススメの参考書まで徹底解説します。
ぜひ最後まで読んで、日本史を得意科目にしていきましょう!
そもそも日本史ってどんな科目?
日本史は暗記の重要度がとても高い
日本史は暗記事項が多く、暗記の重要度がとても高い科目です。
もちろん、すべての事項を丸暗記する必要はありません.
それでも他の科目と比較すると、インプットに必要な時間は2〜3倍ほど多くなります。
日本史の主要4テーマに分けられる
日本史のカテゴリー分けは「時代」だけだと思っていませんか?
もちろん時代で分けるのは至極当然なことなのですが、加えて以下の4つのテーマで分類できます。
- 政治
- 戦争
- 文化
- 経済
日本史をテーマに分けることで、理解しやすくなり暗記が簡単になります。日本史は知識量が膨大なため、時代ごとの分類だけでは要素が整理しづらいのです。
言葉だけでは少しイメージしづらいと思うので、具体的に説明します。
室町時代を例にとりましょう。
室町時代の主要な出来事として以下が挙げられます。
年号 | 主な出来事 |
---|---|
1338年 | 室町幕府成立 |
1397年 | 鹿苑寺金閣建立 |
1404年 | 日明貿易開始 |
1467年 | 応仁の乱 |
1490年 | 慈照寺銀閣建立 |
1573年 | 室町幕府滅亡 |
これらを政治・戦争・文化・経済の4テーマで分類すると以下のようになるのです。
テーマ | 年号 | 主な出来事 |
---|---|---|
政治 | 1338年 | 室町幕府成立 |
1573年 | 室町幕府滅亡 | |
戦争 | 1467年 | 応仁の乱 |
文化 | 1397年 | 鹿苑寺金閣建立 |
1490年 | 慈照寺銀閣建立 | |
経済 | 1404年 | 日明貿易開始 |
もちろん、これら4つのテーマ同士にまったく関連が無いわけではなく、戦が政治に影響を与えているケースは山ほどあります。
ただ、授業や教科書で扱われている内容が、どのテーマに該当するのか把握することで、時代の流れや出来事の原因などが理解しやすくなるはずです。
なぜ日本史は覚えづらいの?
日本史が覚えづらい主な原因は以下の3つです。
- 勉強を後回しにしがち
- 知識を丸暗記しようとする
- アウトプットが足りていない
日本史が覚えられない3つの原因
【原因1】勉強を後回しにしがち
日本史は社会の科目ですから、英国数の勉強と比較して優先順位が低くなる傾向があります。
とくに理系の受験生は、理系科目に勉強時間を多く確保したいので、なかなか日本史に時間を割くのが難しいでしょう。
しかし、繰り返しになりますが、日本史は必要な知識量が多いです。教科書を一読しただけで知識を覚えられる人はなかなかいないでしょう。ある程度は時間を割かなければ成績は向上しません。
英国数の勉強を妨げたくない気持ちは大いにわかります。
通学中や寝る前のちょっとした時間に、教科書や単語帳に目を通しておいて、インプットにまとまった時間をとらなくて良いように、日々心掛けましょう。
日本史の学習のスタートは、志望校にもよりますが、高校2年の夏、遅くとも冬には学習を始めるべきでしょう。
覚えることが多くめんどくさいと思う気持ちもわかりますが、
早く始めるのにこしたことはないですね!
【原因2】知識を丸暗記しようとする
日本史の勉強法としてよくありがちなのが、重要事項を丸暗記しようとすることです。
日本史は暗記が重要な科目ですが、全要素を丸暗記するのは、非常に効率が悪いです。
丸暗記では膨大な日本史の知識を定着させることはできませんし、選択問題や論述問題で苦労してしまいます。
私の指導経験上「一問一答は解けるけど、共通テストや過去問になると途端に解けなくなる」と悩む受験生が多いです。
この悩みを持つ受験生の多くが丸暗記しようとしている傾向にあります。
日本史は、文字通り日本の歴史を学ぶ科目ですから、歴史上の「ストーリー」があるはずです。
この「ストーリー」の流れを理解することが、日本史を覚える上で最も大切なことなのです。
詳しくは次の章で解説します。
日本史でも、理解しながら勉強をすることが重要です!
【原因3】アウトプットが足りていない
日本史は、必要な知識が多いので、自習ではおのずとインプットの時間が増えます。
また、英国数は学校などで小テストが頻繁に行われると思うので、比較的問題演習の機会は多いと思います。
対して日本史は、重要語句の確認テストが時々ある程度、といった学校も多いですよね。
このような観点から、日本史はどうしてもアウトプットの時間が不足してしまいます。
日本史に限ったことではありませんが、知識を定着させるには、インプットとアウトプットのサイクルが必要不可欠です。
「通学中に一問一答で重要事項の確認をする」「授業で扱った単元の問題集を解く」など必ずアウトプットをするよう心がけましょう。
日本史では、アウトプットをする習慣化することが大事ですね!
日本史の覚え方で一番大切なことは?
日本史は「ストーリー」で覚える
前述しましたが、日本史とは日本の歴史を学ぶ科目なので、歴史上の「ストーリー」があります。
この「ストーリー」の流れを理解しなければ、出来事が起こった要因や時系列がわからず、理解をすることができません。
近年の入試では、並び替え問題や出来事の意義を論述させる問題も増えています。
例えば、「応仁の乱」は八代将軍足利義政の後継をめぐって起こった争いです。
なので、並び替えの選択肢に「足利義政が将軍の座に就く」「応仁の乱が起こる」の二つがあれば、前者の方が早いことが分かります。
このような問題は、流れを意識して学習していると、容易に解けるようになります。
やはり問題を解くという観点からも、「ストーリー」で覚えることは大切ですね。
日本史を勉強するときは、ストーリーを意識しましょう!
日本史の覚え方3ステップ【京大生直伝】
ここまで解説したことをふまえて、京大生がオススメする具体的な覚え方3ステップを紹介します。
覚え方3ステップ:
- ステップ1:主要事項を把握する
- ステップ2:主要事項の「ストーリー」を理解する
- ステップ3:演習問題で定着度を確認する
ステップ1:主要事項を把握する
まずは主要事項を把握しましょう。
教科書で大きく取り上げられている事項に関しては、一読して把握しておきましょう。
主要事項とは、室町時代の例で紹介したような大きな出来事と関連人物です。
このステップでは、なぜその出来事が起こり、またそれによって後にどのような影響を及ぼしたのか、まで覚える必要はありません。
「〇〇って人がいて、△△なことが起こった」程度の理解で問題ありません。
このステップで確認問題を解きたい場合は、一問一答を使うと良いです。
・語句は熟語の意味で覚える
そもそも日本史の語句自体が覚えられない人は「語句は熟語の意味で覚える」というテクニックが有効です。
このテクニックは、私が京大合格のために勉強しているときに思いついた、最強の覚え方です。
日明貿易は別名「勘合貿易」とも言われます。
日明貿易は読んで字の如く、日本と明の貿易ですから、初めてでもわかりやすいでしょう。
しかし、「勘合貿易」という言葉を初めて聞いたとき、私は「勘合ってなんだろう?」と思いました。
そこで、私はまず「勘合」という言葉の意味を調べました。
「勘合」とは、元々「照らし合わせる、考え合わせる」という意味です。
日明貿易が開始された当時、朝鮮半島や中国沿岸では「倭寇」という海賊集団が活動していました。
彼らと商人を区別するために、証明書として両国合わせて一つになる札を使用していました。
この札を「勘合符」と呼び、「勘合貿易」と呼ばれるようになったわけです。
同様に「大政奉還」であれば、「大政」(天下国家の政治)を「奉還」する(天皇に返上する)というように覚えるのです。
熟語の意味を覚えることで、言葉そのものの意味を理解できます。
そうすると、語句が覚えやすくなりますし、次で解説する「ストーリー」の理解にも繋がって来ます。
用語の中の熟語の意味をおぼえるのが、理解のポイントにもなります!
ステップ2:主要事項の「ストーリー」を理解する
主要事項を一通り把握できたら、それらの「ストーリー」を理解しましょう。
「ストーリー」に関わるこのステップが、日本史を覚える上で非常に重要です。
イメージしづらいので、再び室町時代の例で解説します。
まず金閣の建立に着目してみます。
金閣は3代将軍足利義満によって建てられましたが、彼はなぜ金閣を建てようと思ったのでしょうか。
理由は諸説ありますが、「天皇家を乗っ取ろうという野望や彼の権威の象徴として自己顕示するため」との説が濃厚です。壮大な野望を抱いているのが何とも将軍らしいですね。
次は、日明貿易に着目してみます。
日明貿易にも義満が大きく関わっています。
彼が日明貿易を開始した目的は、南北朝の統一です。
日本の勢力は南朝と北朝の二つに分かれていて、政権は北朝が所持
↓
明朝と南朝の親交が深い
↓
北朝は南朝が勢力をつけるのを危惧
↓
南朝を邪魔するような形で、北朝が日明貿易を開始
当時の日本は勢力が南朝と北朝に分かれており、政治の権力は北朝、つまり幕府が握っていました。
しかし、南朝の懐良親王が明より「日本国王」と任命された過去もあり、南朝は明との貿易関係を築ける状態にありました。
幕府側としては、南朝に経済力を持たせるわけにはいきません。そのため、義満は明との管理貿易(幕府側が直接管理、統制する貿易)を推進し、南朝の経済力を奪う形で半ば強引に南北朝の統一を果たしたのです。
これら二つの出来事に着目すると、「義満」という少し傲慢な一面を持つ主人公の「ストーリー」が見えてくるのです。
「ストーリー」を理解すると、歴史の流れまで覚えるのがグッと楽になりますね。
ステップ3:演習問題で定着度を確認する
ステップ1、2でインプットが済んだら、演習問題でアウトプットの機会を設けましょう。
このステップでは流れまで理解しているかを確認します。短答問題ではなく、入試に近い問題で演習しましょう。
理系の生徒も、共通テスト対策が始まるまでは、記述回答式の問題演習をオススメします。
また、解答だけでなく、解説まで熟読しましょう。
抜けていた箇所や知らなかった箇所まで確認するのが重要です。
一周目では関連知識を得るために、正解した問題の解説にも目を通しましょう。
最後に間違えた問題や偶然正解した問題に赤ペンや付箋で印を付けて、このステップが終了です。
知らなかった箇所はステップ1に、抜けていた箇所やあやふやだった箇所はステップ2に戻って、繰り返しましょう。
このサイクルを何度も繰り返すことで知識が定着していきます。
【PR】日本史のおすすめ参考書
日本史の参考書は、大きく分けて以下の3タイプがあります。
それぞれの使い方と、オススメの参考書を紹介します。
京大生が使っていてほんとによかったと思うオススメの参考書を教えます!
教科書編
教科書は万能で、一読してステップ1に使用できますし、ステップ2で流れを理解するためにも使用できます。
今回はとくに「ストーリー」理解の手助けとなる2冊を紹介します。
①金谷の日本史「なぜ」と「流れ」がわかる本
タイトルにもある通り、正に日本史の主要事項を「なぜ」と「流れ」を踏まえて覚えることに特化しています。
難易度も高すぎず、イラストもついているので、読みやすいです。
「ストーリー」から理解するには持ってこいの一冊です。
②日本史B 講義の実況中継 シリーズ
時代別で4冊に分かれています。
文字情報のみならず、写真やイラストも豊富で、視覚的に理解しやすいです。
別冊の講義ノートは、赤シートで試験や入試前の確認にも役立ちます。
日本史が苦手な受験生にもオススメできるシリーズです。
用語集編
用語集は、ステップ1で把握した主要事項をより詳しく理解するとき使用できます。
用語集は、どれも大きな差はないので、自分が使いやすいものを選んで良いです。
今回は、個人的に使いやすいと思うものを紹介します。
①山川 日本史一問一答
基礎的な用語から難関レベルの用語まで、網羅的に収録されています。
教科書では扱いきれないところまで詳しく解説されているので、ステップ2で理解を深めるのに最適です。
問題集編
問題集タイプは、大きく分けて一問一答タイプと、共通テスト・入試問題のような実践タイプの二つです。
一問一答タイプはインプットの確認に、実践タイプは主にアウトプットに使用できます。
それぞれ一つずつオススメのものを紹介します。
①山川一問一答日本史
教科書の主要な用語が約4,600語一問一答形式で収録されています。
重要度が3段階に分かれていて、赤シートも付属しているので、ステップ1の確認から試験前の最終確認まで幅広く使用できます。
②全レベル問題集 日本史B シリーズ
基礎レベルから国公立大レベルまで5段階に分かれていて、各々のレベルに合った演習ができます。
解説が丁寧で、頻出の紛らわしいポイントも記載されています。
このシリーズをマスターすれば、「手も足もでない問題はない」と言っても過言ではありません。
A5サイズなので、持ち運びしやすく、通学中に演習できる点も魅力です。
まとめ 日本史の覚え方のコツは「ストーリー」の理解
今回は日本史の覚え方について解説しました。
この記事のまとめ
❶日本史が覚えづらい原因
①後回ししがち
②丸暗記しようとする
③アウトプットが足りていない
➋日本史を覚える上で一番大切なのは「ストーリー」
➌日本史の覚え方3ステップ
①主要事項を把握する
②主要事項の「ストーリー」を理解する
③演習問題で定着度を確認する
日本史は必要な知識が多いですが、正しい勉強法を知って、実践すれば得点源にできる科目です。上で紹介した覚え方を参考に学習を進めて、日本史を得意科目にしていきましょう!