『黄チャート』の使い方とレベルを現役京大生が解説

『黄チャート』は、「チャート式」で有名な数研出版が出版している数学の参考書です。数学の問題を解く上で知っておきたい解法が網羅的に収録されており、問題演習を通じて解法をインプットすることができます。

ただ、世の中にはたくさんの数学の参考書があり、『黄チャート』が自分の志望大学のレベルに合っているのか、効果的な使い方ができているのか知るのは難しいですよね。

この記事では、黄チャート』の難易度や効果的な使い方、他のチャート式問題集との違いなどを解説します。本書の具体的な内容や難易度を理解して、適切に参考書を選べるようにしましょう。

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黄チャートの基本情報

価格I+A:2,024円
II+B:2,200円
III+C:2,231円
科目数学
出版社数研出版
目的入試に必要な解法を身につける
対象ユーザー入試で数学を使う全ての受験生
レベル日東駒専〜地方国公立大学
難易度やや簡単〜やや難しい
特徴最難関大学入試レベルの問題が多数収録されています。最難関大学合格に必要な技術100個が詰まっていますが、難易度が非常に高いため、難関大学を受験しない方にとっては不向きです。

黄チャートのレベル

本書の難易度は「普通〜やや難しい」です。教科書レベルの基礎問題も収録されていますが、「Exercises」という上位国立大学で出題されるような少し難易度が高めの問題も収録されており、幅広い受験生に対応した問題集となっています。

黄チャートで到達できる偏差値

偏差値65まで到達可能です。教科書レベルの基礎的な問題から入試応用レベルの問題まで収録されており、本書を極めれば旧帝国大学・早慶などの難関大以外の入試問題には対応できます

黄チャートの強み

ここからは、『黄チャート』について、他の参考書と比較した強みを解説していきます。

網羅的に問題が収録されている

『黄チャート』の最大の特徴は、教科書基礎レベルの問題から入試応用問題まで幅広く問題が収録されていることです。幅広く問題が収録されつつも、解法を知っておくべき問題が厳選されており、非常に秀逸な参考書だといえます。問題もレベルごとに分類されており、重要度がわかりやすく、数学を得意にしたいすべての受験生に役立つ参考書です。

解説がわかりやすい

解説が非常にわかりやすいことも特徴の一つです。網羅的な参考書になると、通常は解答・解説がおろそかになりがちですが、本書は1問ずつ丁寧に解説がついており、学習効果を最大限に高めてくれること間違いなしです。

例題の答えの確認がしやすい

チャートシリーズすべてに共通しますが、例題についてはページの上部に問題があり、その下にすぐに答えが書かれている構成になっています。例題を学習する際にはページをめくることなく答えを確認できるためストレスを感じにくく、効率の良い学習ができるはずです。

黄チャートの弱み

ここからは、『黄チャート』について、他の参考書と比較した弱みを解説していきます。

分量が多く、途中で挫折する可能性がある

本書は網羅系の参考書であり、かつ解説が詳しいこともあり、非常に分量が多くなっています。黄チャート数2Bの例題数は376題、ページ数は584ページと参考書の中で群を抜くボリュームです。そんな分量の多さに負けて、多くの受験生が途中で挫折しがちです。本書に取り組むにあたっては、きちんと計画を練り、実行できるようにしましょう

Exercisesの難易度が高すぎる

もう一つの弱みとしてはExercisesで収録されている問題の難易度が高すぎることがあげられます。難関大学志望であっても苦戦してしまうような問題も多く、中堅私立・国公立大学を志望する方にとっては負荷が大きすぎる可能性もあります。解くべき問題、解けなくて良い問題を見極めることが必要になるので注意しておきましょう。

黄チャートの使い方

ここからは、『黄チャート』の効果的な使い方を解説します。

STEP1:1周目で問題を解き、解法をインプットする

『黄チャート』を使用する際、1周目はまず解法をインプットすることに努めましょう。以下のような手順でインプットすると効果的に学習できます。

①例題を見て、解法が思いつかなかったらすぐに解答を見る(解法がわかった場合は解いてみる)
解法が思いつかなかった場合は練習問題を解いてみる(解法がわかった場合は解かずに次の例題に移る)
わかった問題には⚪︎、わからなかった問題には×をつけ、復習がしやすいようにする

STEP2:2,3周目で解けなかった問題を復習する

まず1周が終わったら、1周目で×をつけた問題をもう一度解いていきましょう。その問題が解けるようになったら、上から⚪︎をつけ、7〜8割が⚪︎になるまで復習を繰り返してください。何度も繰り返し学習するにつれて、自分の苦手な分野がわかってくるはずです。7〜8割が⚪︎になった分野についてはSTEP3に移行しましょう。

STEP3:解法がインプットできればExercisesに取り組む

STEP2を終えたら、次はExercisesにも取り組みましょう。ですが、中堅私立・国公立志望の方はここまで学習する必要はありません。例題、練習問題が完璧になるまで繰り返し問題を解くか、後述の「黄チャートの後におすすめの参考書」に取り組むのがおすすめです。

黄チャートで1問にかける時間

例題は5〜10分練習問題は10〜15分Exercisesの問題は20〜30分を目安に解くようにしましょう。

黄チャートに関する注意点

ここからは『黄チャート』を使用する際の注意点を解説していきます。

数学の基礎が固まっていない人には難しい

『黄チャート』が基礎から解説されているといえども、教科書レベルの知識が全くない場合は本書をおすすめできません。公式や基礎的な定理をある程度覚えている前提で解説が進められているため、教科書を6割程度理解してから本書で演習を積むようにしましょう。

最難関大学の入試には対応できない

この参考書だけでは最難関大学の入試には対応できないことにも注意が必要です。本書に収録されているExercisesは非常に難しいですが、それでも旧帝国大学などの最難関大学入試に対応するためにはもう一冊アウトプット用の参考書を併用する必要があります。おすすめの参考書は「黄チャートの後におすすめの参考書」で紹介しているので参考にしてみてください。

完成させるまでに時間がかかる

先ほども述べた通りボリュームがとても多いため、完成させるまでに長い時間がかかります。どれだけ早く学習したとしても、最低4ヶ月はかかると考えてください最難関大学を目指す場合には当該科目が授業で1周するたびに着手できるのが理想です(数1Aが授業で終わればその都度黄チャートの数1Aに着手)。

以下志望大学別のおすすめの着手時期を解説します。
①東大・京大などの最難関大学:各科目(数1A、2B等)が終わるたびに着手
②①以外の旧帝国大学:各科目(数1A、2B等)が終わるたびに着手
③GMARCH・中堅国公立大学:高3になるまでに着手
④日東駒専:高3夏までに着手

黄チャートの前におすすめの参考書

ここからは、『黄チャート』を使用する前におすすめの参考書を紹介していきます。

数学 入門問題精講

教科書や学校の授業でもついていけないという人におすすめの参考書です。単元ごとの考え方や公式など、数学が苦手な人が知りたいことがわかりやすく説明されています。数学の導入部分から解説されており、初学者でも取り組みやすいですが、本書はあくまで「入門」の参考書だということに注意しましょう。この参考書が終わり次第、『黄チャート』などの参考書に移行できると効果的です。

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数学 基礎問題精講

『基礎問題精講』は黄チャートと同じ網羅系の参考書です。ですが、こちらの参考書のほうが分量が少なく、少ない時間である程度基礎を固めたい方におすすめです。この参考書を7割程度理解してから黄チャートで学習すると、黄チャートが理解しやすくなり、効率良く学習できるでしょう。

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やさしい高校数学

『やさしい高校数学』は基礎的な問題を詳しく解説している参考書です。そのため、数学が苦手な人や初学者でも取り組みやすくなっています。登場人物が会話する形式で、噛み砕いた説明がされているため、解説がとても理解しやすいです。わかりやすい参考書を求める方には最適です。

黄チャートの後におすすめの参考書

ここからは『黄チャート』を使用した後におすすめの参考書を紹介していきます。

文系数学の良問プラチカ

『文系数学の良問プラチカ』は、黄チャートを完璧にした後に取り組むべき参考書です。難関大学で出題されるレベルの問題が約150題収録されており、非常に難易度が高く、中堅私立・国公立志望の方にはおすすめできません。解答、解説がとてもわかりやすいことに加えて、難関大を受験する上で知っておくべき考え方が非常に多く収録されています。「文系数学」と書かれていますが、理系の方でも使用できます。難関大を志望する生徒は絶対にやっておきたい参考書の一つです。

数学 標準問題精講

本書は中堅私立・国公立大を志望する方が黄チャートの後に取り組むべき参考書です。中堅私立・国公立大レベルの問題が多く収録されており、問題演習を通じて実戦力を磨くことができます『黄チャート』でインプットが7〜8割終わった後に取り組むと効果的です。

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新数学スタンダード演習

『黄チャート』などの網羅系参考書に取り組んだ後、過去問を解く前に取り組むのがおすすめの参考書です。入試問題の良問を網羅的に収録しているのが特徴で、この1冊をやるだけで入試問題に対応できるだけの実力をつけられます

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黄チャートについてのよくある質問

ここからは『黄チャート』について、よくある質問に答えていきます。

他の色のチャート式との違いを教えてください。

チャート式には、「白、黄、青、赤、緑、紫」の6つのシリーズがあります。以下それぞれの色の特徴を解説していきます。

・白チャート
基礎的な問題が多い。数学が苦手な人におすすめ。
・黄チャート
数学な苦手な人、中堅私立や中堅国公立を目指す方におすすめ。
・青チャート
一番標準的な参考書。実戦的な問題も多く収録されており、最難関大入試にも対応できる。
・赤チャート
チャート式で最も難易度が高い。東大や京大を目指す方や、河合塾の模試で数学偏差値65以上取れる方におすすめ。
・緑チャート
共通テスト演習のみに的を絞った参考書。共通テストでだけ数学を使う方は、緑チャートと「白チャートor 黄チャート」を使用するのがおすすめ。
・紫チャート
中堅私立〜中堅国公立レベルの問題を収録したアウトプット用問題集。「黄チャート or 青チャート」を終えた後に使用するのがおすすめ

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    この記事を書いた人

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    山本康平

    京都大学法学部に在学中

    夏、秋のオープン模試、実戦模試はすべてD、E判定。
    共通テストでも大コケし、680点を取って浪人を覚悟するものの、2次試験で英語の得点率が8割越えと大逆転し、無名の公立高校から京都大学法学部に現役合格。

    スタペディアでは得意科目の英語を中心に記事を執筆、英語のコンテンツ責任者も担当。