『やっておきたい英語長文1000』は、河合塾が出版する有名英文問題集です。圧倒的な入試分析から導き出された頻出テーマに関する長文問題に取り組むことで、志望校合格に必要な読解力を効率的に身につけることができます。
本書の最大の特徴は、タイトルからもわかるとおり、1000語やそれ以上の長さの超長文を掲載していることです。慶應SFCや東工大などの難関大学で出題される超長文の対策にはうってつけの参考書です。
また、解答解説に含まれている要約など、一つの文章を最大限活用しながら英語力を高めるための工夫が詰まっています。超長文の対策に初めて取り組む人でも取りやすい参考書だと言えるでしょう。
ただ、『やっておきたい英語長文1000』が自分の志望大学のレベルに合っているのか、本当に英文法力を高めるのに効果的なのかを見極めるのは難しいですよね。
この記事では、『やっておきたい英語長文1000』のレベル感に加え、強み弱みなどの特徴や、本書の前後で取り組むのにおすすめの参考書について徹底的に解説します。本の内容や難易度を理解して、適切な参考書選びができるようになることを目指しましょう。
この記事を書いた人
やっておきたい英語長文1000の商品情報
| 価格 | 1,210円 |
| 科目 | 英語 |
| 問題数 | 長文10題 |
| 出版社 | 河合出版 |
| 目的 | 標準〜発展レベルの超長文の読解をマスターする |
| 対象ユーザー | 志望校対策として超長文問題に取り組みたい生徒 |
| レベル | 〜難関私学・国公立 |
| 難易度 | 普通〜難しい |
| 特徴 | ハイレベルな超長文の読解を効率よく学習できる問題集です。定番参考書として信頼度は高いものの、問題数が少なくカバーしきれていないテーマもあります。 |
やっておきたい英語長文1000のレベル・到達できる偏差値
大学受験参考書の中では標準から発展の部類に入ります。
早慶などの偏差値60-70前後の難関私立や、長めの英文が出題される国公立大合格までを目指せるレベルです。
900-1600語というかなり長めの長文が掲載されているため、英文解釈にある程度自信があり、さらに伸ばしていきたい受験生におすすめです。
高難易度の長文読解が必要となる難関大の志望者は、高校3年生の春頃から取り組み、夏頃までには一通り学習し終えると良いでしょう。この時期までにマスターしておけば、スムーズに過去問演習に移行できます。
やっておきたい英語長文1000の強み
超長文問題に取り組める
英文読解は英語の総合力が求められ、苦手とする受験生が多い分野です。その中でも特に語数が多い超長文は、非常にハイレベルな出題方式として知られています。ただし、英語の超長文を出題する大学は限られているため、超長文対策の参考書は限られています。本書は超有名予備校の河合塾が出版しているということもあり、良問がコンパクトにまとまっており、超長文が出題される慶應や私立医大等の難関私学・一橋や東工大などを志望する受験生にぴったりの参考書です。
長文頻出テーマを理解できる
英語長文を攻略する上で、よく出題されるトピックをあらかじめ理解しておくことは非常に重要になってきます。しかし、頻出テーマをゼロから独学するのは難しいですよね。本書では、頻出テーマに関する英文が選択されており、さらに背景知識の解説コラムも掲載されています。河合塾の知見から導き出された頻出トピックを理解しておくことで、効率よく長文読解の学習を進めることができます。
短期間で効率的に学習できる
1冊に10題のみというシンプルな内容なので、短期間で長文読解を学習したい人にぴったりです。また、解説部分には本文の要約も含まれており、繰り返し復習しやすいように設計されています。志望校の過去問演習に入る前に演習の時間をとっておきたい人や、過去問演習や志望校別模試に取り組む中で長文に課題を感じている人が短期間で長文読解を練習したいというシチュエーションにおすすめの参考書です。
やっておきたい英語長文1000の弱み
問題数が少ない
問題が10題のみというシンプルな構成になっています。そのため、とにかく量をこなして力をつけたい人は使いづらいと感じる可能性があります。英文読解は量をこなすことで力が伸びる側面があるのも事実です。一冊の本で効率よくたくさんの問題に取り組みたい人にはあまり向いていません。
解説がわかりにくい
全体的にシンプルな構成になっており、構文解釈や文法に関する解説はあまり詳しくありません。そのため、長文読解にあまり慣れていない人などは解説を読みながら復習するのが難しいと感じる場合があります。英文解釈の演習にまだ取り組んでいない人がいきなり取り組むには少しハードルが高い参考書だと言えるでしょう。
やっておきたい英語長文1000の使い方
STEP1:長文を読み問題に取り組む
まずは長文を読んで問題に取り組んでみましょう。ある程度長文読解に自信がある人は制限時間内で取り組むことを意識するのがおすすめです。長文のどこが問題に対応しているのか、各問題にどれくらいの時間を割くべきかを考えながら回答するのが非常に重要になってきます。
STEP2:解答解説を見ながら重要構文や単語を把握する
解答解説を参考に長文全体及び各問題をしっかり理解できているか確認しましょう。解説の中で特に重要とされている構文なども確認し、用法をそのまま頭に入れるのが大切です。新しく覚えた単語は、繰り返し確認できるように単語帳などにメモしておくことがおすすめです。
STEP3:本文の要約をする
余裕があれば本文の要約にも取り組んでみましょう。超長文の難しい要素として、文章が長い分要旨が掴みづらいという点があります。各パラグラフで重要そうな文章を見つけ出し、それを日本語にまとめ直し、それを合体させると本文の大まかな要約をつくることができます。その上で時系列や論理構造を修正し、本文の要約を作り上げていきましょう。解答解説にも要約が掲載されているので、それと比較してどの要素が余分で何が不足しているのかを適宜確認すると要約力を高めることができるでしょう。
やっておきたい英語長文1000で1問にかける時間
1題あたり2-3時間をかけるのがおすすめです。制限時間に基づいて問題に解答したあと、1-2時間かけて解説を読み込んだり本文の要約をしたりするのを目安にすれば効率的に復習ができるでしょう。
一週あたり1-2問を目安に1-2ヶ月で1周できると、短期間で英文力を効果的に伸ばすことができるはずです。
やっておきたい英語長文1000に関する注意点
英語長文に自信がない場合には基礎的な参考書を経由する必要がある
かなりハイレベルな超長文のみしか掲載されていないので、英語読解そのものに不安がある人は難易度が高いと感じるかもしれません。その場合は、以下でも紹介しますがシリーズで出版されている『やっておきたい英語長文700』などに先に取り組むのがおすすめです。難易度自体はそこまで変わりませんが、文章が短く取り組みやすい良問が揃っています。
超長文が出題されない場合に取り組む必要がない
あくまで超長文の対策を目的とした問題集なので、一般的な長さの長文(600語程度)は掲載されていません。超長文の出題がない大学を志望している場合、本書に取り組むのはオーバーワークになります。むしろ通常の長文読解の問題や過去問の演習に時間を使った方が有益です。とりあえず難しい長文問題集に取り組みたいという理由で手に取るのはあまりおすすめしません。
構文解釈は別で勉強する必要がある
解答解説では重要な構文についての言及はありますが、入試頻出の構文が網羅されているわけではありません。特に東京一工・早慶で出題されるような超高難易度英文に含まれるような構文を勉強したい人は、『基礎英文解釈の技術100』、『英文読解の透視図』などの構文解釈に特化した参考書を確認するのも良いでしょう。
やっておきたい英語長文1000の前におすすめの参考書
やっておきたい英語長文700
シリーズで出版されている長文問題集です。本書とは異なり700語程度の一般的な長さの長文が掲載されているため、長文読解に自信がない人、超長文を対策する必要がない人はまずこちらに取り組むと良いでしょう。難関大の受験を目指す場合は、その後に本書などのハイレベルな問題集に取り組んだり、過去問演習に時間を割く必要があります。
大学受験スーパーゼミ徹底攻略基礎英文解釈の技術100
言わずと知れた英文解釈の有名参考書です。レベル別にシリーズ展開されていて、本書は最難関大学志望者向けの最高難易度の英文解釈対策書です。入試英文を読み解くために重要な100のテクニックがコンパクトにまとまっており、構文解釈を網羅的に学習できます。また難解な構文には図解が添えられており、視覚的にも理解しやすい一冊です。
やっておきたい英語長文1000の後におすすめの参考書
TopGrade難関大突破英語長文問題精選
本書の特徴は、なんといっても問題の多様さ。国公立大学の過去問も掲載されているため、選択式問題に加え、論述式の問題にも取り組むことができます。また、問題に対する解説が非常に詳しいのも特徴です。一つの文章を隅から隅までしっかり理解しつつ、たくさんの問題に取り組みたい人におすすめの一冊です。
やっておきたい英語長文1000についてのよくある質問
「英語長文1000」とはどういう意味ですか?
「英語長文1000」とは、1000語からそれ以上程度の長文を掲載しているという意味です。長文が1000題掲載されているという意味ではありません。1000語を超える英文は超長文と呼ばれ、出題大学は限られているものの非常に対策が難しい問題として有名です。
音声はついていますか?
読み上げ音声は公式サイトから無料で入手することができます。音声を使って単語学習を進めたい人は、ホームページを確認してみてください。
『英語長文問題精講』『TopGrade難関大突破英語長文問題精選』との違いは何ですか?
いずれも『やっておきたい英語長文1000』と並ぶ有名問題集です。一つ目の違いは掲載問題数と長文の長さが挙げられます。1000語を超える超長文が10題掲載されている『英語長文1000』に対して、『英語長文問題精講』は300語程度の短めの文章が約100題含まれています。また、『TopGrade』は500語程度の文章が15題含まれています。二つ目の違いとしては解説の方法が指摘できます。『英語長文1000』はシンプルな解説が特徴ですが、『英語長文問題精講』は各文法の解説が非常に丁寧で、『TopGrade』は要約の対策ができるようになっています。最終的には個人の好みなので、書店等で実際に手にとって気に入ったものを選ぶようにしましょう。


