『速読英熟語』は、Z会出版の英熟語帳です。入試頻出の英熟語が音声付きの長文とセットでまとめられているので、英語が苦手な人でも手に取りやすい参考書になっています。
ただ、『速読英熟語』が自分が到達したいレベルや偏差値に合っているのか、その使い方が本当に正しいのかを見極めるのは難しいですよね。
この記事では、『速読英熟語』の特徴を解説します。本の内容や効果的な使い方を理解し、適切な参考書選びができるようになることを目指しましょう。
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『速読英熟語』の商品情報
『速読英熟語』の基本情報です。
価格 | 1,320円 |
科目 | 英語 |
出版社 | Z会 |
目的 | 英熟語の習得、長文読解力・速読力の向上、リスニング力・スピーキング力の向上 |
対象ユーザー | 英熟語をマスターしたい人や長文読解の練習がしたい人 |
レベル | ~中堅私大/共通テストレベル |
難易度 | 普通 |
特徴 | 英語長文とリスニング音源を使いながら効果的に学べる一方で、一冊を仕上げるのに時間がかかるので、暗記だけしたい人には不向きな可能性があります。 |
『速読英熟語』の難易度
本書の難易度は“普通”で、中堅・難関私大を目指す人から国公立を目指す人まで幅広い受験生におすすめできます。
熟語以外にも、その熟語を使った入試レベルの英語長文が収録されており、長文読解の参考書としても効果的に使えるでしょう。
『速読英熟語』で到達できる偏差値
本書で到達できる偏差値は60〜65で、完璧に暗記することでGMARCHレベルまで到達できます。
ただ、最難関私大や難関国公立を目指す人は、本書の熟語を覚えるだけでは不十分なので、本書を完璧にした後に他の参考書や問題集に取り組みましょう。
『速読英熟語』の強み
『速読英熟語』を他の参考書と比べた強みを紹介していきます。
長文の全訳と解説がついている
本書の一番の強みは、英語長文を活用しながら英熟語を学べる点です。
暗記した熟語がどんなニュアンスで、どんな単語とセットで使われているかを知ることで、より理解が深まるでしょう。
さらに、2023年に出版された改訂版からは、長文解釈の解説が色分けされてより詳しくなったので、長文読解の参考書としても効果的に使えます。
音声を使って学習できる
付属のリスニング教材を使って学習できるのも、本書の強みです。
音声速度を調整しながら、自分のレベルに合ったリスニングを行うと効果的でしょう。
おすすめなのは2,3周目に1.25倍速で聞き取る練習です。
ネイティブレベルの速度で英文を聞き取れるようになれば、入試本番に余裕を持ってリスニングできます。
通学の間や寝る前に、この教材のリスニングを習慣づけておくと良いでしょう。
長文のテーマが豊富
本書では、豊富なテーマの英語長文を多読できるので、読解の型を習得できるとともに、入試英文でも問われる英語長文の背景知識を蓄積できます。
例えば、「diabetes」(糖尿病)や「Mediterranean」(地中海)など特定の病気や地方の英語名を知っておくだけで、その用語をテーマにした英語長文の読みやすさが全く異なります。
様々なテーマの英語長文に触れておくと、初見の長文にも臆しないメンタルが身につくでしょう。
『速読英熟語』の弱み
『速読英熟語』を他参考書と比べた弱みを紹介していきます。
習得に時間がかかる
本書では長文での実際の用法をみながら熟語を学べる一方で、一冊を完璧にこなすのには、時間がかかるのが弱みです。
英熟語を完璧に覚えるだけでなく、長文の意味を捉えるためには、2〜3周と回していく必要があるでしょう。
最難関私大レベルには不十分
本書は幅広い受験生におすすめできる一冊ですが、早慶や旧帝大志望の受験生にとっては不十分な可能性があります。
これらの大学を志望する受験生は、よりハイレベルな熟語を学んだり、他の長文読解や和訳の問題集に取り組んだりすることをおすすめします。
暗記だけしたい人には不向き
本書は熟語を機械的に覚えたい人にとって、付属の英語長文が余計に感じられるでしょう。
そういった人は、『システム英熟語』や『Vintage』など、熟語と例文がぎっしり詰まっている参考書をおすすめします。
『速読英熟語』の使い方
ここからは、『速読英熟語』の正しい使い方を紹介します。
STEP1:熟語/構文をまずは覚える
まずは本書に載っている熟語を全て暗記することを目標としましょう。その際、以下の手順でやってみると最高効率で暗記できます。
- 1章ごとに熟語を読んでいき、知らない熟語にはチェックをつける。
- チェックをつけた熟語を音読しながら復習する。
- 3〜5章ごとに熟語を暗記しているかテストし、覚えていないものはチェックをつけて再度復習する。
- 1〜3を、チェックがなくなるまで繰り返す。
これは筆者が受験生時代に教わり、実際に行っていた方法で、脳に定着しやすく、効率的に暗記できます。
STEP2:長文を読んで理解する
熟語の暗記が一通り終わったら、長文読解に入っていきましょう。
覚えた熟語がどんな文脈やニュアンスで使われているか、どんな単語とセットで使われているかを意識しながら読むと理解が深まります。
これをすると、日本語を自然な英語の表現に訳す力が身につき、特に英作文の問題で役立ちます。
STEP3:パラレルリーディングを行う
長文読解が終わって余裕がある人は、リスニング力を高めていきましょう。
まずは、音源を1度通しで聞いて内容の全体感を掴んだ後に、聞き取れなかった部分をもう一度聞くと良いです。
そして3度目には、英文を読みながらリスニングを行うパラレルリーディングを行うことで、速読力とリスニング力が同時に身につくでしょう。
『速読英熟語』で1問にかける時間
1熟語あたり10秒ほどで読み、1章終えるのに1〜2分ほどが目安です。
3〜5章ごとに繰り返して暗記するとして、30分ほどで10章分進める計算になります。
このペースであれば1週間で1周でき、定期試験前や模試前に2〜3周すると考えると、最適なペースでしょう。
ただ、こういった単語帳や熟語帳は何周したから終わりではなく、受験勉強を終えるまで何周もしましょう。
筆者も、英単語帳は二次試験前日まで周回していました。
『速読英熟語』に関する注意点
ここでは、本書に取り組む時の注意点を紹介します。
この注意点を見ておかないと、自分にあっていない参考書で効率の悪い勉強をしてしまう可能性が高いです。
以下の点に気をつけましょう。
短期間でマスターしたい人には不向き
本書を使うと、長文とセットで熟語を学べるため理解が深まる一方で、熟語だけを短期間でマスターしたい人には不向きな可能性があります。
そういった人には、熟語がより網羅されている参考書がおすすめです。
一方で、高校1、2年生の内から、リスニング力や長文読解とセットで学んでいきたい人はぜひ取り組みましょう。
長文読解に時間をかけすぎない
本書では、様々な英語長文に取り組める一方で、読解に時間をかけすぎないように注意してください。
本書の目的である、英熟語を暗記し、その意味・長文での使われ方をマスターすることを念頭に学習していきましょう。
熟語量が多い可能性がある
本書には、熟語量が約1080個も収録されており英語が苦手な人や入学したての1年生には、とっつきにくく感じられるかもしれません。
その場合は、1日で学習する量を調節して自分が最も効率的に暗記できるペースで進めていきましょう。
『速読英熟語』の前におすすめの参考書
ここからは『速読英熟語』の前に使うと効果的な、おすすめの参考書を解説していきます。
システム英単語

『速読英熟語』に取り組む前に、まずおすすめしたいのが筆者も受験生時代お世話になった『システム英単語』です。
序盤に収録されている頻出英単語を覚えておくだけで、『速読英熟語』の長文読解がスムーズになるでしょう。
また、『システム英単語』ではカバーしきれない、動詞を含まないイディオムや連体詞が『速読英熟語』では収録されており、相互補完的な使い方ができます。
合格へと導く英語長文 Rise読解演習2 基礎〜標準編
本書では、『速読英熟語』よりも難易度が低めの英語長文が収録されており、長文読解の準備として使えます。
Rise1→速単入門→Rise2→速読英熟語と交互に進めていくと、段階的に難易度を上げながら学習でき、学習効果が非常に高まるでしょう。

肘井学の読解のための英文法が面白いほどわかる本
本書を『速読英熟語』の熟語暗記と長文読解の間に挟むと、スムーズに読解できます。
『速読英熟語』の長文の中には、「Not any means would he 〜」のようなそもそも文法構造が難解な文章も出てきます。
本書を先に学習することで、このような文章に立ち向かえる読解力を身につけておくと良いでしょう。

『速読英熟語』の後におすすめの参考書
本書を終えた人は、演習をゴリゴリ行える問題集や英文法知識がより網羅されている参考書に取り組みましょう。
具体的には、以下の『Next Stage(ネクステージ)』、『ポレポレ 英文読解プロセス50』、『Vintage』の3冊がおすすめです。
Next stage(ネクステージ)
『速読英熟語』で学んだ熟語を網羅的に演習でき、英文法を大学受験レベルまで押し上げてくれる一冊です。
実際に入試の小問集合で問われる問題が幅広く収録されているので、実践的な問題演習ができるでしょう。
特に、中堅〜難関私大を受験する人はこの一冊を完璧にするだけで、大幅に得点力が身につきます。

ポレポレ 英文読解プロセス50
本書では難解な英語長文にトライでき、そのレベルは他の参考書と比べても随一の難しさです。
一方で、本書の文章中に『速読英熟語』で学んだ熟語や構文が頻出しており、それらを発見し適切に訳す力を身につけられるでしょう。
厳選された入試英文を取り扱っているので、早慶や旧帝大を志望する受験生に必須の参考書です。
Vintage

英文法の網羅系問題集で、『速読英熟語』では網羅できなかった品詞の活用例や多義語をマスターできます。
完成までに時間がかかる一方で、これらの細かな文法知識をマスターしておくと、入試が近づくにつれてじわじわ効いてくるでしょう。
受験生時代、筆者も大変お世話になった良書です。

『速読英熟語』についてのよくある質問
ここからは、本書について受験生からよく質問される点について答えていきます。
一日何ページ進めれば良いですか
結論から言うと、一日あたり10章分進められると良いでしょう。
本書では、全74章収録されているので、1週間ほどで1周できる計算になります。
2〜3周目には長文やリスニング音源を駆使して、読解力や速読力、リスニング力を高めていきましょう。
暗記項目については○周すれば終わり、ではなく入試前日までひたすら周回しましょう。
早慶レベルまで達するには、どうすればいいですか
本書をマスターした後に、長文読解や和訳に特化した問題集に取り組みましょう。
早慶や旧帝大レベルでは、必ず和訳や英作文の記述問題が出題されるので対策は必須です。
本書に収録されている熟語について、その熟語が使われる文脈まで理解し、英作文や和訳問題でも意味を捉えながら自然に訳せるレベルを目指しましょう。
ターゲット、システム英熟語との違いはなんですか
レイアウトや扱っている英語長文のテーマが少し異なりますが、収録されている熟語は大きな違いがありません。
英単語帳や熟語帳は入試本番まで長い付き合いになるので、参考書の表紙や中身のデザインを見比べて、よりモチベーションがでる方を選ぶと良いでしょう。