『現代文キーワード読解』は、Z会編集部が出版している現代文の語彙集です。入試頻出の語彙の意味やテーマの周辺知識を習得できるだけでなく、「読解のポイント」や「要約」を活用して文章の要約練習をすることで、本質的な読解力を身につけられる参考書になっています。
ただ、『現代文キーワード読解』が自分の勉強方法は正しいのか、本当に学習効果があるのかを見極めるのは難しいですよね。
この記事では、『現代文キーワード読解』の問題の難易度や正しい勉強法、本当に必要かなどを解説します。本の具体的な内容や問題の難易度を理解して、適切な参考書選びができるようになることを目指しましょう。
この記事を書いた人
『現代文キーワード読解』の商品情報
『現代文キーワード読解』の基本情報です。
価格 | 990円 |
科目 | 国語(現代文) |
出版社 | Z会編集部 |
目的 | 語彙の習得によって、深い読解力を身につける |
対象ユーザー | 現代文が苦手な受験生 |
レベル | 共通テスト〜難関私大 |
難易度 | 普通〜やや難しい |
特徴 | 本書は、豊富なキーワード知識を身につけられるだけでなく、テーマ解説がわかりやすく視覚的に学べるのが強みです。一方で、語彙の習得に継続が必要で、他の問題演習用の教材が必要であるという弱みがあります。 |
『現代文キーワード読解』のレベル
本書のレベルは、共通テスト〜難関私大レベルです。本書を使うことで、重要なキーワード知識だけでなくテーマの周辺知識を身につけられるでしょう。
さらに、文章ごとに「読解のポイント」や「要約」を活用して文章の要約練習をすることで、本質的な読解力を鍛えられます。共通テストや私大の問題で求められる、与えられた文章の本質をスピーディーに把握する能力を身につけられるでしょう。
『現代文キーワード読解』で到達できる偏差値
本書を極めることで、偏差値60〜62.5まで到達できます。
本書の内容を完璧に習得すれば、最難関私大の入試問題に出てくる語句やテーマにも対応できるので、それ以上の偏差値を目指す人にもおすすめです。
一方で、模試の偏差値が50前後など現代文の基礎力が不足している段階で、本書に手を出しても得られる学習効果は低くなってしまうので、注意しましょう。
『現代文キーワード読解』の強み
『現代文キーワード読解』を他の参考書と比べた強みを紹介していきます。
キーワード知識をつけられる
本書の最大の強みは、現代文におけるキーワード知識をつけられることです。「ニヒリズム」や「蓋然性」など、パッと意味を答えづらい入試で頻出の重要語句160語が精選され、テーマ別に意味と例文がまとめられています。
これらの語句の意味と用いられる文脈を完璧に暗記することで、ハイレベルな入試現代文でも内容がすんなり頭に入ってくるようになるでしょう。
テーマ解説がわかりやすい
テーマ解説がわかりやすいことも、本書の強みの一つです。入試で頻出の文章テーマ(経済論、自己/他者、メディア論、身体論など)について、そのテーマの背景にある思想や時代的背景まで解説されています。
これらを理解することで、テーマごとの文章の展開の傾向を知ることができ、初見の文章でも文脈をスムーズに捉えることができるでしょう。さらに、付属の例文によってテーマの理解度を実践的に測れるのも特長の一つです。
視覚的に学べる
本書の強みとして、視覚的に学べることも挙げられます。キーワードの例文に対して「読解のポイント」部分に文章の構成が図解を用いて表現されているので視覚的にも理解しやすいでしょう。
各テーマの解説では「早わかりマップ」として、そのテーマの時代背景の流れがわかりやすく整理されています。そのため、そのテーマの知識が全くない人でも簡単にテーマの全体像を理解できるでしょう。
『現代文キーワード読解』の弱み
『現代文キーワード読解』を他参考書と比べた弱みを紹介していきます。
問題演習の量が少ない
本書の最大の弱みは、問題演習の量が少ないことです。各テーマごとに確認テストや例題は収録されていますが、キーワードの意味を確認する問題や読解の問題量が少なく、解法テクニックや記述力を身につけるのには不十分です。
このアウトプットの不足を補うために、他の参考書で問題演習を行う必要があるでしょう。本書を終えた人は、学んだ語彙やテーマの理解を活用して、他の問題集で読解や記述の練習に取り組んでいってください。
現代文が苦手な人にとって難易度が高い
現代文が苦手な人にとって難易度が高いことも、本書の弱みです。入試頻出のキーワードやテーマがわかりやすく解説されていますが、現代文が本当に苦手な人は難しいと感じる可能性が高いです。
例えば、現代文の偏差値が50付近のような人が本書に取り組んでも、語彙の意味やテーマ解説が全く理解できず、消化不良に陥ってしまうでしょう。
本当に現代文が苦手な人は、本書の前に基本的な語彙の習得やよりやさしい読解演習に取り組むのがおすすめです。その際、現代文キーワードの前におすすめの参考書で紹介しているものを選んでみてください。
『現代文キーワード読解』の使い方
ここからは、『現代文キーワード読解』の正しい使い方を紹介します。
STEP1:キーワードの意味を覚える
本書の使い方として、まずはキーワードの意味を全て覚えてください。
現代文を読む際に、重要語句の意味を覚えておくだけで文章の理解の深さとスピードが段違いに改善します。本書で紹介される語句は160語とそれほど多くはないものの、その用いられる文脈を完璧に理解するには時間がかかるでしょう。
さらに、小説文における重要語を50語も覚える必要があります。
受験初期から本書に取り組み始め、通学の時間や空き時間に眺める習慣をつけておくのがおすすめです。
STEP2:例文を読みながらテーマを深く知る
キーワードの意味を覚えきったら、例文を読みながらテーマの周辺知識を身につけていきましょう。
本書の見開き右ページに紹介されている実際に入試で問われた例文を通して、キーワードがどんな文章で出てくるのか、どんな使われ方をするのかを理解できます。
また、図解を用いたテーマ解説を合わせて読むことで、その例文の背景を知ることができ、文章の理解が深められるはずです。例文やテーマ解説を読む際、以下の手順で進めていくのがおすすめです。
- 全文を通して読む
- キーワードの前後の文章をじっくり読む
- テーマ解説を読む
- 再度、文章全体を読む
この手順で行うことで、キーワードの定着度とテーマの理解度が格段に良くなります。
STEP3:全文章の要約をする
例文を最後まで読んだら、自分なりに内容を咀嚼し要約してみましょう。文章の主旨を的確に把握できるかを確認できます。
まずは自分なりに要約してから、本に載っている要約例と照らし合わせ、理解が合っているかをチェックしましょう 。
最初のうちは、いきなり0から要約するのは難しいと思うので、「読解のポイント」をみながら要約しても大丈夫です。慣れてきたら、何もみずに要約していってください。
「読解のポイント」の図式を頭の中で考えながら、要約できるようになると完璧です。
『現代文キーワード読解』で1問にかける時間
1テーマあたり、20分を目安に進めていくと良いでしょう。キーワード学習と例文の読解、テーマ解説の理解を合わせるとこの時間が適切だといえます。
ただし、これはあくまでも初回学習の目安であり、語句の定着やテーマ理解を深めることを考えると2周3周と回していくことが必要です。
例文の要約に関しては、1例文10分を目安に進めていきましょう。入試本番で要約問題をとく時間を考えると、時間をかけすぎるのは読解スピードの低下につながるのでおすすめできません。
『現代文キーワード読解』に関する注意点
ここでは、本書に取り組む時の注意点を紹介します。
この注意点を見ておかないと、自分にあっていない参考書で効率の悪い勉強をしてしまう可能性が高いです。
以下の点に気をつけましょう。
キーワードの暗記だけで満足しない
現代文の得点力が元々ある人には不要であることが、本書の注意点です。既に模試の偏差値で60以上を安定して取れており、語彙力にも不安がない人にとっては本書の重要度は低いと言えます。
そういった人は、他のより実践的な演習ができる問題集や過去問に取り組んでいきましょう。
それ以外の人は、本書を通じてどんな難解な文章に対しても対抗できる強力な語彙を養えるので一度手をとってみることをおすすめします。
習得に継続が必要
本書の注意点として、習得に継続が必要であることも挙げられます。本書を使って読解力を身につけるまでには、1周だけでは足りません。
全キーワードの意味や用いられる文脈を理解し、全例文の要約を完了するには継続的な学習が必要です。
特にキーワードの暗記に関しては、一度覚えた知識を脳に定着させるために、2周3周と回していかないといけません。受験勉強の初期の段階から暗記を始め、本書を開くことを習慣化していけると良いです。
優先順位を見極める
本書に取り組む際、優先順位を見極めることに注意しましょう。
例えば、現代文が得意で他に苦手な教科・科目がある受験生は、そちらに注力した方が良いです。現代文で既に安定して高得点が取れている人にとって、語彙習得によって得られるメリットは少ないからです。
既に、全統模試などで偏差値65以上を安定して取れている人は、暗記に時間をかけすぎず、テーマ解説や要約だけに取り組むなど、部分的に使用する方が良いでしょう。
一方で、現代文が苦手な人は本書を語彙の暗記・テーマ解説・要約全てを叩き込んでください。
『現代文キーワード読解』の前におすすめの参考書
ここからは『現代文キーワード読解』の前に使うと効果的な、おすすめの参考書を解説していきます。
高校現代文をひとつひとつわかりやすく
高校現代文を超基礎から学べる参考書です。図解やイラストを交えてわかりやすく解説されており、問題演習から基礎知識の習得まで幅広く学ぶことができます。
キーワード読解の単語や例文の意味が掴めない人や、授業を聞いていてもわからない人にとっておすすめできる入門書と言えるでしょう。

ことばはちからダ!
現代文頻出語を基礎から学べる入門書のような参考書です。難易度は本書よりも易しく、より平易な解説が収録されています。
キーワード読解では理解が難しいと感じる人や、日東駒専や産近甲龍レベルの大学を目指す人にとって、基礎固めに最適の一冊でしょう。

『現代文キーワード読解』の後におすすめの参考書
本書を終えた人は、過去問演習やより難易度の高い問題が収録されている参考書に取り組んでください。
具体的には、以下の『共通テスト・センター試験の過去問』、『現代文単語』の2冊がおすすめです。
共通テスト・センター試験の過去問

キーワード読解を完璧にした後には、大学入学共通テストやセンター試験の過去問がおすすめです。キーワード読解で学んだ語彙や要約力を実践的に試せるだけでなく、制限時間内に問題を解き切る訓練にもなります。
共通テストの現代文は、やりこめばやり込むほど問題を解く時間が早くなっていくので、とにかく演習量を積むのが良いでしょう。

現代文単語

キーワード読解よりも難易度が少し高めの語彙集です。キーワード読解では、まだ語彙に不安がある人にはおすすめの一冊となっています。
一方で、収録されている語彙のなかで重複しているものもあるので、他教科の兼ね合いで時間がない人は取り組む必要性は低いでしょう。
本書は、受験生時代に筆者が取り組んだ参考書で、通学中のお供として、毎日読んでいました。
『現代文キーワード読解』についてのよくある質問
ここからは、本書について受験生からよく質問される点について答えていきます。
本当に効果がありますか?
本書は現代文が苦手な人ほど効果があると言えます。
現代文において、どれだけ語彙を知っているかで得点力が大きく左右されます。本書で入試頻出語彙を徹底的に頭に叩き込むことで、共通テスト〜難関大学レベルの文章に太刀打ちできるようになるでしょう。
本書に正しい勉強法で取り組めば、語彙の知識だけでなく読解力も着実に得られるはずです。
改訂版は何が違いますか?
2015年に刊行された改訂版での大きな違いは、「小説文における重要語50語」が収録されていることです。旧版では収録されていなかった、小説読解で問われやすい情語や慣用句を中心にまとめられています。
さらに、近年の入試傾向に合わせて、収録語彙や入試問題からの抜粋もアップデートされました。
改訂版は、小説語彙への対応や近年の入試傾向を反映しているという点で旧版より優れていると言えるでしょう。
「いらない」と言われるのはなぜ?
本書が「いらない」と言われる最大の原因は、正しい勉強法で取り組まないと学習効果が得られないことです。
語彙の意味の暗記→テーマや文脈などの背景理解→文章の要約という正しいステップを踏まないと、十分に読解力を鍛えることができません。
その結果として、現代文の偏差値が一向に上がらないという事態に陥ってしまうのです。本書の正しい使い方を知り、実践し、習慣化していくことで、読解力を身につけていきましょう。