『古文解釈の方法』は、駿台文庫が出版している古文解釈に特化した解説本です。
古文解釈に必要な知識が「なぜその活用形につながるのか」といったレベルから詳しく解説されており、それらを体系的に学べます。
ただ、『古文解釈の方法』が自分の学力と本当にあっているのか、どのように進めると学習効果が高いのかを見極めるのは難しいですよね。
この記事では、『古文解釈の方法』の難易度や具体的な解説の内容、効果的な使い方などを解説します。本の具体的な内容や問題の難易度を理解して、適切な参考書選びができるようになることを目指しましょう。
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『古文解釈の方法』の商品情報
『古文解釈の方法』の基本情報です。
| 価格 | 1,078円 |
| 科目 | 古文 |
| ページ数 | 271ページ |
| 出版社 | 駿台文庫 |
| 目的 | 古文解釈における知識と技術を身につけ、古文の完璧な解釈を目指す |
| 対象ユーザー | 難関大学の入試で古文を得点源にしたい人 |
| レベル | 早慶、旧帝大レベル |
| 難易度 | 難しい |
| 特徴 | 本書は、古文解釈に必要な知識を詳しく、体系的に学べるという強みがある一方で、内容が難しすぎたり、最後までやりきるのが難しいという弱みもあります。 |
『古文解釈の方法』のレベル・到達できる偏差値
本書は早慶、旧帝大レベルの参考書で、極めることで偏差値70まで到達可能です。古文解釈に必要な知識や解釈の仕方が丁寧に解説されていますが、解説の内容が大学受験レベルでは必要ないレベルまで踏み込んだ内容となっている部分もあります。
そのため、多くの受験生にとって簡単には理解できない部分も多くあるでしょう。本書を使って古文を得点源にしたい人は、ある程度古文の学力を上げてから取り組む必要があります。
志望校のレベル別におすすめの開始時期を以下に記載しているので、参考にしてみてください。
- 早慶、旧帝大:高校3年の10月
- 東京一工:高校3年の8月
『古文解釈の方法』の強み
『古文解釈の方法』を他の参考書と比べた強みを紹介していきます。
古文解釈に必要な知識を体系的に学べる
本書の最大の強みは、古文解釈に必要な知識を体系的に学べるという点です。助詞、助動詞、敬語、活用形について詳しい解説がなされており、本書一冊で古文の文法事項はマスターできるでしょう。
また、本書1冊を完璧に読み込むことで、それぞれの文法事項をつながりを持たせて理解できます。他の参考書では個別に紹介されていた知識が、本書を読むことで有機的につながり、古文読解力を完成させられるでしょう。
一つ一つの知識を詳しく学べる
一つ一つの知識を詳しく学べるのも本書の強みと言えます。本書を通して、古文解釈に必要な知識を詳しく理解できるでしょう。
例えば、第3講「助動詞の解釈」では、未然形接続の助動詞「む」についてそのコアとなる意味は何か、なぜ未然形に接続するのか、まで踏み込んで解説されています。
このように、本来大学受験では問われないようなレベルまで詳しく解説されているのも本書の特長です。
基礎〜応用まで幅広く学べる
本書の強みとして、基礎〜応用まで幅広く学べることも挙げられるでしょう。 「活用とは」や「助動詞とは」といった基礎的なところから、「自敬表現と荘重体敬語の違い」といった応用レベルまで幅広く解説されています。
ただ、応用レベルの内容が大変難しいことには注意が必要です。「荘重体敬語」のような概念は、解釈に重要な知識であるものの、大学受験レベルの解釈問題ではほとんど問われません。
そのため、自身の古文の学力レベルに合わせて読むべき部分を取捨選択するのがおすすめです。
『古文解釈の方法』の弱み
『古文解釈の方法』を他参考書と比べた弱みを紹介していきます。
内容が難しすぎる
本書の最大の弱みは、内容が難しすぎることです。解釈に必要な知識について、入試レベルを超えた深いところまで解説されているので、多くの受験生にとって難しく感じられるでしょう。
例えば、第2講「活用について」では、下二段活用の動詞についてなぜ未然形と連用形は同じ活用をするのに活用系が分けられているのかというところまで踏み込んで解説されています。
そのため、古文が苦手な人や知識をまだ覚えきれていない人にとってはオーバーワークになってしまう可能性が高いでしょう。
最後までやりきるのが難しい
本書の弱みとして、最後までやりきるのが難しいことも挙げられます。全部で250ページ以上もあり解説の内容も深いので、最後まで理解しようとすると相当な労力がかかるでしょう。
古文解釈を得意になろうとして、軽い気持ちで本書に手を出しても、途中で挫折してしまう可能性が高いです。そのため、全体像をサッとつかんだ後に、自分にとって必要な部分だけを詳しく読んでいくのが良いでしょう。
『古文解釈の方法』の使い方
ここからは、『古文解釈の方法』の正しい使い方を紹介します。浪人時代に実際に本書を使用していた講師の話を元にしているので、ぜひ参考にしてみてください。
STEP1:第1講を読む
まずは、第1講「逐語訳と内容を大づかみにする方法」を読みこみましょう。第1講の「内容を大づかみにする方法」では、主述関係を設定できる意味のまとまりを意識して読むことで、物語の大筋を捉えやすくなる方法が解説されています。
本書の中で最重要とも言える内容で、この方法を徹底するだけで古文を素早く正確に読めるようになるでしょう。1回で内容を理解するのが難しい場合は、2周、3周と本質を理解するまで繰り返し読んでください。
STEP2:第6講を読む
第1講を読み終わったら、第6講「引用文と挿入」を読んでいきましょう。ここでは、古文で多用される他作品からの引用文や独立した文の挿入が紹介されており、その見分け方や意味の捉え方を習得できます。
古文では、「」がついていない引用や挿入が多く、それを見分けられないと大幅な減点になる場合も少なくありません。そうならないためにも、第6講の内容を徹底的に頭に入れておく必要があります。
STEP3:残りの講義を全て読む
第1講と第6講を読み終わったら、残りの講義を全て読んでいきましょう。ただ、残りの講義では大学入試では問われないレベルまで解説されている箇所も多く、受験生にとっての重要度は低いとも言えます。時間が限られている現役生は、第1講と第6講だけに取り組むのも良いでしょう。
一方で、残りの講義の内容を全て習得できれば、古文で無双できるほどの学力を身につけられるので、時間に余裕のある人は挑戦してみてください。
『古文解釈の方法』で1講義にかける時間
本書で1講義にかける時間は、20〜30分です。ただ、あくまで目安なので、自分の中で腑に落ちるまで繰り返し読んでいきましょう。本書では、入試レベルを超えたところまで踏み込んで解説されているため、一読しただけでは内容を全て理解するのは難しいです。
その場合は、何度も繰り返し読んでください。何度読んでも理解できない時は、他人に聞いたり、一度時間をおいてもう一度読んでみたりするのがおすすめです。
『古文解釈の方法』に関する注意点
ここでは、本書に取り組む時の注意点を紹介します。
この注意点を見ておかないと、自分にあっていない参考書で効率の悪い勉強をしてしまう可能性が高いです。
以下の点に気をつけましょう。
全てをやりきろうとしてはいけない
本書の最大の注意点は、全てをやりきろうとしてはいけないことです。深い解説と分量の多さから、全ての内容を理解しようとすると、相応の時間と労力がかかるでしょう。
また、完成させようと焦って取り組むことで、かえって理解が浅くなってしまい、「やった気になっている」状態になる可能性が高いです。そうならないためにも、自分の学力や志望大学の傾向に合わせて絞って取り組むのが重要でしょう。
初めから順番に進めてはいけない
本書の取り組む際の注意点として、始めから順番に進めてはいけないことも挙げられます。古文の解釈に必要な知識を体系的に学べる一方で、受験における重要度はバラバラです。
初めから順番に読んでいくのではなく、重要度の高いものから読んでいきましょう。具体的には、『古文解釈の方法』の使い方で紹介した第1講→第6講→その他の講義で進めていくのがおすすめです。
古文が苦手な人にはおすすめできない
古文が苦手な人にはおすすめできない点も、本書の注意点と言えます。重要な古文の読解知識を詳しく学べる一方で、ある程度知識を習得しておかないと、解説の理解が難しいでしょう。
例えば、第3講「助動詞の解釈」では、助動詞の意味と活用形を知っている前提で解説がなされていきます。そのため、古文が苦手な人やまだ古文知識を覚えきれていない人は、本書より平易な解説がされている講義本に取り組むと良いでしょう。
『古文解釈の方法』の前におすすめの参考書
ここからは『古文解釈の方法』の前に使うと効果的な、おすすめの参考書を解説していきます。
富井の古文読解を始めから丁寧に
東進の有名講師による古文読解の基礎を学べる解説本です。文章を分解して機械的に読んでいく方法について、わかりやすい解説とともに学べます。
古文解釈の方法に入る前に本書を読んでおくと、内容がリンクするところもあるので、スムーズに理解できるでしょう。古文が本当に苦手な人や、文法に不安がある人におすすめできる一冊です。
古文単語315
古文読解に必要な知識が凝縮された単語帳です。入試頻出の重要語だけでなく、関連語や慣用句まで豊富に掲載されているので、大学入試における暗記項目を本書一冊でカバーできるでしょう。
また、他単語帳に比べて古文常識が詳しく解説されているので、説明問題や解釈問題が出題される難関大学を志望する受験生におすすめの一冊です。
『古文解釈の方法』の後におすすめの参考書
本書を終えた人は、過去問演習やより難易度の高い問題が収録されている参考書に取り組んでください。
具体的には、以下の『志望大学の過去問』がおすすめです。
志望大学の過去問
古文解釈の方法を終えた人は、志望大学の過去問に取り組んでいきましょう。古文解釈の方法を通して、解釈に必要な知識とテクニックを完璧に習得できているはずなので、実践的な演習に入ってください。
古文解釈の方法をやりきった人であれば、問題形式の癖を把握することで、安定して高得点を取れるようになるはずです。
『古文解釈の方法』についてのよくある質問
ここからは、本書について受験生からよく質問される点について答えていきます。
いきなり『古文解釈の方法』は難しいですか?
結論、難しいです。本書では基礎〜応用まで幅広く収録されていますが、初学者向きの入門書ではなく、旧帝レベルで古文を得点源にしたいような玄人向けの参考書です。本書に入る前に、助詞、助動詞の種類や活用の仕方など基礎的な知識を身につけておく必要があるでしょう。
また、模試で安定して偏差値60以上あるような古文が得意な人であっても、理解が難しい箇所もあるはずです。受験まで余裕がある人や本当に極めたい人用の参考書であると理解しておいてください。
『富井の古文読解を始めから丁寧に』とどちらがいいですか?
富井の古文読解に先に取り組むのがおすすめです。
古文解釈の方法が、難関大学で古文を得点源にしたい人向けの内容であるのに対し、富井の古文読解は、古文の初学者が読んでも理解できるような平易な解説がされています。古文が苦手な人はまず、富井の古文読解に取り組んでください。
古文が得意な人であっても、いきなり古文解釈の方法に手を出さずに、富井の古文読解をはさんでおくとスムーズに理解できるでしょう。


